「魔導師の月」 乾石智子 東京創元社
こんなにも禍々しく、これほど強烈な悪意を発散する怖ろしい太古の闇に、なぜ誰も気づかないのか・・・・・・。
繁栄と平和を謳歌するコンスル帝国の皇帝のもとに、ある日献上された幸運のお守り〈暗樹〉。
だがそれは次第に帝国の中枢を蝕みはじめる。
コンスル帝国お抱えの大地の魔導師でありながら、自らのうちに闇を持たぬ稀有な存在レイサンダー。
大切な少女の悲惨な死を防げず、おのれの無力さと喪失感にうちのめされている、書物の魔道師キアルス。
若きふたりの魔導師の、そして四百年の昔、すべてを賭して闇と戦ったひとりの青年の運命が、時を超えて交錯する。
人々の心に潜み棲み、破滅に導く太古の闇を退けることはかなうのか?
<単行本カバー見返し側より>
『夜の写本師』と同じ世界、魔導師シリーズ第2弾。
夜の写本師より前の時代。
しかし、両方とも時代をさかのぼっての話もあるので、繋がりが見える。
共通の登場人物はキアルス。
『夜の写本師』でこの世界を知ったので、今回は直ぐにこの世界に入って行ける。
今回も邪悪なものとの戦い。
それは〈暗樹〉と言う黒く細長い円筒形の物で飾りも彫りもない。
レイサンダーはそれの悪意をすぐに感じ取る。
太古の闇、運命の闇。
それは消滅させる事は出来ないが、退けることは出来る物だと。
そして、闇は誰でも持っている。
それはこの時代だけではなく、今の時代にも通じる。
心の闇はよく物語でもテーマになる。
〈暗樹〉今現在もどこかで誰かの側でほくそ笑んでいる。
その闇をどうしたらいいのかという事も色々書かれている。
誰もが持っているから、それを意識している人は考えて対処しているという事なのだろう。
「闇は怖れてはいけない。常にここにいるもの。
それは闇の馬、手綱を決してはなしてはいけない」と言ったのはタゼン。
テイバドールの父親は「憎むな」と教える。
キアルスも『ギデスディンの魔法書』を書いた時に、人を呪うことについて考える。
コンスル帝国歴857年から始まるこの物語。
皇帝がいて魔導師がいて、奴隷もいる。
そして、その400年前のテイバドールの時代。
その頃、コンスルでお金が使われ始める。
そんな世界の人々の様子が生き生きと描かれてドラマチックに展開して行く。
過酷な事も多く、人もたくさん死んでいく。
だからハッピーエンドな気持ちにはならないが、それでも精一杯生きる人達に触れて清々しい気持ちにはなる。
ひとつの歴史を読んでいく感じになる。
こんなにも禍々しく、これほど強烈な悪意を発散する怖ろしい太古の闇に、なぜ誰も気づかないのか・・・・・・。
繁栄と平和を謳歌するコンスル帝国の皇帝のもとに、ある日献上された幸運のお守り〈暗樹〉。
だがそれは次第に帝国の中枢を蝕みはじめる。
コンスル帝国お抱えの大地の魔導師でありながら、自らのうちに闇を持たぬ稀有な存在レイサンダー。
大切な少女の悲惨な死を防げず、おのれの無力さと喪失感にうちのめされている、書物の魔道師キアルス。
若きふたりの魔導師の、そして四百年の昔、すべてを賭して闇と戦ったひとりの青年の運命が、時を超えて交錯する。
人々の心に潜み棲み、破滅に導く太古の闇を退けることはかなうのか?
<単行本カバー見返し側より>
『夜の写本師』と同じ世界、魔導師シリーズ第2弾。
夜の写本師より前の時代。
しかし、両方とも時代をさかのぼっての話もあるので、繋がりが見える。
共通の登場人物はキアルス。
『夜の写本師』でこの世界を知ったので、今回は直ぐにこの世界に入って行ける。
今回も邪悪なものとの戦い。
それは〈暗樹〉と言う黒く細長い円筒形の物で飾りも彫りもない。
レイサンダーはそれの悪意をすぐに感じ取る。
太古の闇、運命の闇。
それは消滅させる事は出来ないが、退けることは出来る物だと。
そして、闇は誰でも持っている。
それはこの時代だけではなく、今の時代にも通じる。
心の闇はよく物語でもテーマになる。
〈暗樹〉今現在もどこかで誰かの側でほくそ笑んでいる。
その闇をどうしたらいいのかという事も色々書かれている。
誰もが持っているから、それを意識している人は考えて対処しているという事なのだろう。
「闇は怖れてはいけない。常にここにいるもの。
それは闇の馬、手綱を決してはなしてはいけない」と言ったのはタゼン。
テイバドールの父親は「憎むな」と教える。
キアルスも『ギデスディンの魔法書』を書いた時に、人を呪うことについて考える。
コンスル帝国歴857年から始まるこの物語。
皇帝がいて魔導師がいて、奴隷もいる。
そして、その400年前のテイバドールの時代。
その頃、コンスルでお金が使われ始める。
そんな世界の人々の様子が生き生きと描かれてドラマチックに展開して行く。
過酷な事も多く、人もたくさん死んでいく。
だからハッピーエンドな気持ちにはならないが、それでも精一杯生きる人達に触れて清々しい気持ちにはなる。
ひとつの歴史を読んでいく感じになる。
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