しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「ロスト・ケア」  葉真中顕  

2014年01月08日 | 読書
「ロスト・ケア」  葉真中顕    光文社     

2011年12月2日、〈彼〉は43人を殺害した罪で死刑判決を受ける。
〈彼〉が殺したのは、自宅で介護を受ける、要介護度の高い老人たちだった。
発覚するまで、すべての死は自然死とされていた。
その一人に、羽田洋子の母親、静江がいた。
静江は認知症もあり、ひとりで介護をしていた洋子は地獄の苦しみだった。
静江の死に、助けられたという思いを拭い去る事は出来ずにいた。
〈彼〉の罪を見破った検察官の大友秀樹は、〈彼〉の本当の目的はまだ知らされていないと感じていた。







サスペンスと言うより、問題提起の社会派の物語。
途中で、叙述トリックのよう物もあるが、驚きよりも“ああそうだったのか”と言う感じ。
あまり物語に影響はない。
現在の社会が抱える問題が山ほど提示される。
色々と考えさせられることもある。
が、今の社会ではどうしようもないのかも。
と少々投げやりな気持ちが今はしている。
政治家は、世の中を良くしようとしているのではなく、自分達の利益になることをしているのだ。
そう思うようになったのは、いつからだろう。
子供の頃は、世の中は段々良くなって行くのだと思っていた。
政治は、みんながよりよく暮らせるためにある物だと。
それは間違いだったのだ。
“もうすぐ、夜が来る”この言葉が、顕著に語っている。
ただ、この事をみんなに強く意識させ、なんとか変わらないだろうかと。

性善説と性悪説の話が出て来る。
自分は、前は性悪説の方が当てはまると思っていた。
しかし、今は性善説を支持する。
自分を犠牲にしてまで、人を助けようとする人がいる。
人を助けたいと言う気持ちは、理屈ではないのだろう。
ただ、色々な理由でそれを実行に出来ない事があるけれど。
本当に世の中を良くしたいと力を尽くすカリスマ政治家、現れないかな。

“人を殺しては何故いけないのか”
「いけないものはいけない」それに理由なんていらない気がする。
それこそ“ならぬものはならぬ”でいいのではないか。


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