しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「逃走」  薬丸岳 

2015年01月19日 | 読書
逃走」  薬丸岳   講談社文庫    

小沢裕輔はラーメン店「海耀苑」の店主、弓削正一に「どうしてあんたがここにいるんだ!」と問い詰める。
知らないと否定され、裕輔は殴りつけた弾みで弓削死なせてしまう。
裕輔はそのまま姿をくらます。
裕輔と妹の美恵子は幼い時、父親が死んで母親がいなくなったことで親戚に預けられる。
そこから児童養護施設ひかり荘に移り、今は成人して2人で暮らしていた。
裕輔は宅配便のドライバーをし、美恵子はひかり荘で働いていた。
やがて目撃情報などから、裕輔が犯人として指名手配される。
勤務態度も真面目で、評判のいい裕輔の起こした事件を付き合いがある人は信じられなかった。
そして小豆島にいたと言う目撃情報が寄せられる。
小豆島は弓削の出身地だった。









逃げる犯人を警察が追う逃走劇と、昔何があったのかを解き明かす物語。
昔にあったことの方に興味が行くが、逃走劇の方も上手く出来ている。
逃げるのは母親を探す為と、これは早目に分かる。
何故探しているのかは謎で、最後まで引っ張る。
しっかり家族の物語も組み込まれ、何故が明確で納得出来る。
しっかりとした構成。
最後に分かるのは、とても辛い家族の物語。遣り切れなさを感じる。
一生懸命に生きようとしても、上手く行かないことも多い。
愛情を持っていても、それだけではどうにもならない。
何かを秘密にしたままでは、幸せにはなれないと言う事か。
真実を知ったら、裕輔は苦しむだろう。
しかし、すぐに殴りかかるのは短絡過ぎる。
お互いが冷静に話し合えていたら。
もう少し幸せになれる方法があったのかも知れない。

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