「闇夜 警視庁失踪課・高城賢吾」 堂場瞬一

「闇夜　警視庁失踪課・高城賢吾」　　堂場瞬一　　　中公文庫　　　　

娘・綾奈と悲劇の再会からふたたび酒浸りの生活に戻り、無断欠勤を続けていた高城。
失踪した七歳の少女の捜索に引きずり出されるが、少女は絞殺体で見つかり、事件の担当は失踪課から捜査一課に移ってしまう。
娘を失った両親に自身を重ねた高城は犯人を捜し出すことを誓い、わずかな証言を元に執念の捜査を続けるが…。
　　　　　　　＜文庫本裏カバーより＞

高城賢吾シリーズ第９弾






ただ事件を追うだけでなく、気持ちの面が強く出ている。
綾奈の死がはっきりしたことで、高城も気持ちの揺れが今までと違っているから。
愛美の気持ちも。
高城を立ち直らせようと必死な様子が痛々しいのに、あんな過酷な試練を与えなくてもと思ってしまう。
今回の事件は、登場人物たちの必死さがよく伝わって来る。
タイムリミット物のような緊迫感もある。
そして、前回謎のまま終わってしまった事件の続編でもあった。
こんな処で繋がって来るとは、今までになかったパターン。
ただ、納得出来ないところも。
自分の人生だけ悲観して、悪の芽は残していってしまっていいのか、と。
もっと何とか出来なかったのだろうか。
被害者や加害者の家族の気持ちにも話が及んだ今回。
かなり濃度の高い物語になった。