しましましっぽ

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「ローラに何がおきたのか」 フレドリック・ヒューブナー

2009年04月03日 | 読書
「ローラに何がおきたのか」 フレドリック・ヒューブナー 角川文庫
SHADES OF JUSTICE      法村里絵・訳

シアトルのハーバーヴュー病院の緊急救命室に、手首を深く傷つけた女性が運ばれてくる。
それは有名な画家のローラ・マリー・アーカンド。
警官が付き添い、夫のマーク・ジェローム・タルボットを射殺して自殺を図ったという。
一瞬意識が戻ったローラは「ふたりとも私が殺したの」と叫ぶ。
ローラは20代の頃から躁鬱病を患っていた。
ローラの母エレンとその恋人で弁護士のエド・ハウザーは、ローラが心神喪失で無罪をを主張する方針を立てる。
その精神鑑定のために、ウィリアム(ウィル)・ハットンに連絡が来る。
ウィルはエドのもとで育ち、ローラとも幼馴染だった。
ローラは14歳の時に家出をして、その間の4日間の記憶を失っていた。
ウィルはその失われた4日間に起こったことがPTSDの原因となり、フラッシュバックを起こしたと考え、その真相を探ろうとする。



裁判って、なんだろう。
その人物が起こした行動が違法なものならをそれに見合った罰を決める。
違法でも精神的に障害があれば罪にはならないと決める。
それがこの物語のメインの内容。
弁護側は実際のことよりも、いかに実刑から逃れられるかに頭を悩ます。
証人として邪魔になる人物は徹底的に叩き潰される。
一人の人間が殺されて命を奪われている事実は重要視されていない。
誰もが自分と自分が愛する人間を守るのが1番なのだろうが、本当にそれでいいのだろうか。
この物語は最後に事件の真相が明らかになり、それなりの結論が出るが、それまでの展開はあまり共感出来なく、落ち着かない気持ちになる。
裁判に係わった為に、それと直接関係のないことまで、その人の人間性まで問題として暴かれるなら、なるべく係わりたくないと思いそうだ。
確かに同情出来ない人物もいるが、それを摘発する方法が違う気がする。

ラストの真相解明はそれなりに読み応えがあったが、登場人物に感情移入が出来なく、のめり込めない物語。
幸せは他人の不幸の上に成り立ってはいけない。
死んでしまった人間は何も出来ないのに。

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