しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「パワー・オフ」 井上夢人 

2007年07月06日 | 読書
コンピューター制御の実験をしていた高校で事故が起こる。
突然止まり、そして動き出したドリルで手に穴を開けてしまったのだ。
「プログラムに間違いはない」と担当した生徒が震える中、パソコンのディスプレイに『おきのどくさま このシステムはコンピューター・ウィルスに感染しています』と表示が出る。
ネットサービス会社のJAM-NETはこの『おきのどくさまウィルス』が自分のところからばら撒かれらしい事を突き止め、調査にあたる。


1996年の作品。
10年前を考えるとかなり先取り。
今でこそ、コンピューター・ウィルスはみんな知っているけれど。
だからこの物語の中でも色々詳しく説明してくれる。
物語の中で何かを説明するには、そのことに無知な人物を登場させて、その人にわかるように話していくというのが定番ということが最近わかった。
これはコンピューターの中の戦いと、ウィルスを誰がばら撒いたかというサスペンスの2本立てのような物語。
面白いと思うのだけれど、自分の中でいまひとつ盛り上がりが少ないように感じられたのは、相手がコンピューターだからかな。
何となく、どう転んでも収まるところが分かってしまうような。
しかし、今システムダウンしたら世の中大変なことになる。きっと、物語では想像もつかないことが起こるかも知れない。
そんな警告も含んでいると思う。
井上さんはこっちの関係が専門だから。
10年前の作品と知って驚く。
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