しましましっぽ

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「跡形なく沈む」  D・M・ディヴァイン

2015年02月04日 | 読書
「跡形なく沈む」  D・M・ディヴァイン  創元推理文庫    
SUNK WITHOUT TRACE      中村有希・訳

1976年9月5日 ジャージー島のセントへリア村の自宅で、ルース・ケラウェイの母ジーン・ケアンズが亡くなる。
20歳のルースは、父親が誰か知らずに育った。
母親が隠していたのだが、ルースは色々と調べていたが父親の名前は知らなかった。
ルースは直ぐに母親の金庫を開けて、自分の出生証明書を見るが父親の蘭は「不明」だった。
金庫には『シルブリッジ』と書かれた箱があり、書類や手紙が入っていた。
やがてルースは、スコットランドの小都市シルブリッジの自治区役所で働くようになる。
同じ区役所に勤める、ケネス(ケン)・ローレンスやジュディス・ハッチングスはルースが父親を捜しに来た事を知って気に掛ける。
そしてジュディスは自治区協議会議員でもある父親のロバートがルースの父親でないかと思い始める。
しかし、ルースは父親捜しの他に、数年前の選挙に不正があった事についても調べていると知り不穏な物を感じる。
そして、殺人事件が起こる。







タイトルの「跡形なく沈む」はどんな意味だろうと思った。
最後にその意味が分かるが、あまりに直接過ぎて怖い。
殺人犯はありえなそうな人物だが、それはディヴァインらしい人物とも言える。
今回は、分からなかった。
そして、ある意味犯人捜しよりも、ルースという謎めいた女性の存在が気に掛かる。
そのルースが物語の半分も行かないうちに行方不明になってしまう。
ルースが殺人犯で逃げているのか、それとも殺されたのか。
この謎を最後まで引きずりながら物語が進んで行く。
その場に居なくても、物語の中心にいるようだ。
どんな思いを抱いて育って来たか。頭の良い女性で、野心家で。
色々と想像も膨らむ。
メインの人物の心理や性格もよく書かれているが、少ない登場時間の人物も同じように丁寧に書かれているので、とても深味を感じる。
やはりディヴァインは面白い。


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