しましましっぽ

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「ゴッホは欺く」 ジェフリー・アーチャー 

2009年01月23日 | 読書
「ゴッホは欺く」 ジェフリー・アーチャー  上/下巻  新潮文庫
 FALSE IMPRESSION        永井淳・訳

2001年9月10日。
英国貴族ウェントワース家の女主人ヴィクトリアは破産寸前の家計に悩んでいたが、解決策が見つかったと双子の妹アラベラに手紙を書いている時に、侵入した何者かに殺害される。
殺害の指示を出したのは、ウェントワース家に融資をしていたフェンストン・ファイナンス会長のブライス・フェンストン。
フェンストンは美術コレクターで、ウェントワース家が所有するファン・ゴッホの「耳を切った自画像」を確実に手に入れたかったのだ。
アンナ・ペトレスクは訳ありでフェンストンの美術コンサルタントに就職したが、フェンストン・ファイナンスが詐欺まがいで荒稼ぎをしていることに気が付く。
ウェントワース家の所有する絵画や彫刻を評価したアンナは、ヴィクトリアを守るための行動を起こしフェンストンと対立。
解雇されて事務所を出ようとした時、ノース・タワーにアメリカン航空機が激突する。
生き延びたアンナは、フェンストンを出し抜くためウェントワース家に向う。



9・11テロが物語に登場して来る。
大きな事件が物語に組み込まれ、重要な背景になるのはよくある。
しかし、9・11はまだ生々しく感じていたので、読んでいて心が痛い。
そう言えば東野圭吾さんの「幻夜」は阪神・淡路大震災が背景にあった。

物語は悪者から弱い者を守るために奮闘する、美人美術コンサルタント、アンナの物語、その真ん中にあるのがゴッホの絵。
そしてアンナは、ルーマニアの出身。
と言う事で、絵画の話やルーマニア、ブカレストも舞台になり、革命前後の話なども織り込まれ、話題は豊富。
非情な殺し屋も登場するが、サスペンス度はあまり高くはなく、結構すんなり進んでいく感じがする。
アンナに言わせたら、命も狙われ、とんでもない苦労をしたと言われそうだが。
悪役のフェンストンはあまり頭が良くないようで障害の解決方法は殺人。頭脳戦があまりないからかも知れない。
しかし、そんなにハラハラもせず、意外な展開にならなくても楽しめた。
美術コレクターの一人として日本人が登場するが、これが絵に描いたような紳士。
こんな善人が本当にいるだろうかとも思えるが、それが日本人だから、何となく気持ちがいい。
だから、そんな人物がいても良いかと思ってしまう。
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