しましましっぽ

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「検事の死命」 柚木裕子

2022年05月31日 | 読書
「検事の死命」 柚木裕子  角川文庫  

「検事の本懐」に続く、検事・佐方貞人を主人公にした連作短編集。

第一話 心を掬う
佐方の上司、筒井の行きつけの小さな飲み屋「ふくろう」。
佐方と事務官の増田も同席した日、「ふくろう」の親父が「手紙が届かない」と言う話を聞く。
そのすぐ後、増田は別の人から同じような話を聞く。
佐方はそれに興味を示し調べる様に増田に言う。
そして、郵政監察官に連絡を取ろうとした時、向こうから連絡がある。
普通郵便に入っている現金を抜き取っている職員がいるが、証拠を掴めないと言う。

第二話 業をおろす
父親、陽生の十三回忌の法要で、故郷を訪れた佐方。
法要を行う、龍円寺の住職、上向井英心は陽生の幼馴染だった。
英心は十三回忌を期に、陽生が起こした事件の真相を知らしめようとしていた。
佐方の疑問だった、何故陽生が実刑を受けたかも分かる。

第三話  死命を賭ける 「死命」刑事部編
電車内で女子高生に痴漢を働いたとして会社員の武本が現行犯逮捕された。
武本は容疑を否認し、金を払えば示談にすると少女から脅されたと主張。
さらに武本は県内有数の資産家一族の婿だった。
担当を任された検事・佐方貞人に対し、上司や国会議員から不起訴にするよう圧力がかかるが、佐方は覚悟を決めて起訴に踏み切る。
権力に挑む佐方に勝算はあるのか。
   <文庫本裏カバーより>

第四話 死命を決する 「死命」公判部編
佐方貞人は刑事部に異動する。
公判部は刑事部が起訴した案件の裁判を担当する部署。
刑事部で自分が起訴した案件が異動した直後に自分の許へ配点されることもある。
武本の裁判は佐方が担当する事になる。






第一話は、良く『証拠』と言うが、ここまでしっかり言い逃れが出来ないように固めなければいけないものなのかと驚く。
だから証拠より自白を手っ取り早く取ってしまえと言う事にもなるのかと思った。
第二話は、前作で疑問に思った事の答えがあった。
そして、これで佐方の父陽生の事がすっかり分かる物語になっている。
法律と真実のギャップは結構感じるもの。
弁護士と言う仕事も、実際に疑問に思う事もある。
第三話と四話は、1つの物語。
これも証明する事が難しい痴漢の問題。
上手く解決できたのは、相手が下手をしたから。
弁護側の証人の発言は、誰にでも直ぐに矛盾があると分かる物。
やり過ぎは良くないと言う事か。
佐方には幸運もかなり味方している。

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