しましましっぽ

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「苦悩する男」 ヘニング・マンケル 

2022年06月09日 | 読書
「苦悩する男」 ヘニング・マンケル  創元推理文庫  上・下巻
 Den Orolige Mannen         柳沢由実子・訳

イースタ署刑事クルト・ヴァランダー59歳、数年前に町なかのアパートを出て、田舎の家に住み始めた。
娘のリンダも、同じ刑事の道を歩んでいる。そのリンダに子供が生まれた。
リンダのパートナー、ハンスは投資家。
父親のホーカンは退役した海軍司令官、母親のルイースは元語学教師で、気持ちのよい人たちだ。
だが自らの誕生パーティの三ヶ月後、ホーカンが失踪してしまう。
ルイースもハンスも原因に心当たりはないと言うが、ヴァランダーはパーティでのホーカンの様子にひっかかるものを感じていた。
   <文庫本上巻1頁目より>

退役した海軍司令官、ホーカン・フォン=エッケは、自宅であるストックホルムのアパートから散歩にでかけ、そのまま戻らなかった。
ヴァランダーは娘リンダのため、そして初孫クラーラのために、ホーカン失踪の謎を調べ始める。海軍時代の経歴になんらかの秘密が隠されているのか?
海軍時代のホーカンの知り合いに話を聞くが、彼の行方は杳として知れない。
そんな中、今度は妻のルイースまでもが姿を消してしまったのだ。
ときおり襲う奇妙な記憶の欠落に悩まされながら、ヴァランダーは捜査を進める……。
刑事ヴァランダー最後の事件。
   <文庫本下巻1頁目より>






クルト・ヴァランダー最後の事件。
生活にも疲れが見え、突然の記憶の欠落にも悩むヴァランダー。
タイトルの「苦悩する男」とはヴァランダー自身のことかと思った。
事件も身内の事で、警察としてではないのでいつもの捜査とは違う雰囲気。
昔の事件を思い出したりするが、その事件を読んで来たのでヴァランダーと一緒に歩んできた気持ちにもなる。
その中でバイバの事が書かれないのでどうしてかと思っていたら、まさかの本人の登場もあった。やはり最後の物語なのだ。
しかし、ヴァランダーはまだ59歳。
まだまだ元気で動き回れる年齢だと思うが、この物語のヴァランダーは80歳くらいに感じてしまう。
ただ、ヘニング・マンケル自身67歳で亡くなっているので、59歳の時にはそんな風に感じていたのかも知れない。
今回の事件とそれに係る物語も面白かったし、ヴァランダーの人間関係も興味深く面白かった。
ヘニング・マンケルの訃報の時も寂しかったが、ヴァランダーの最後の物語もやはり寂しい。
ポアロやモースとは違った終わり方だった。
ただもう1つヴァランダーの物語があるのでそれを楽しみたい。
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