しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「深海のYrr(イール)」 フランク・シェッツィング 

2009年04月28日 | 読書
「深海のYrr(イール)」フランク・シェッツィング 上・中・下巻 ハヤカワ文庫NV
DER SCHWARM    北川和代・訳

ノルウェー海で発見された無数の異様な生物。
海洋生物学者ヨハンソンの努力で、その生物が海底で新燃料メタンハイドレートの層を掘り続けていることが判明した。
カナダ西岸ではタグボートやホエールウォッチングの船をクジラやオルカの群れが襲い、生物学者アナワクが調査を始める。
さらに世界各地で猛毒のクラゲが出現、海難事故が続発し、フランスではロブスターに潜む病原体が猛威を振るう。
母なる海に何が起きたのか?
      <文庫本中巻裏表紙粗筋より>

異変はさらに続いた。大規模な海底地滑りが発生、大津波が起きてヨーロッパ北部の都市は壊滅してしまう。
この未曾有の事態を収拾すべく、ついにアメリカが立ち上がった。
女性司令官ジューディス・リーのもとに、ヨハンソン、アナワクら優秀な科学者が世界中から集められ、異変の原因を探り始める。
だがその矢先、フランスを襲った病原体が奇怪なカニの大群によってアメリカの大都市に運びこまれ、パニックを引き起こした!
      <文庫本上巻裏表紙粗筋より>

科学者たちは異常な行動をとった海洋生物が共通の物質を持っていることを知る。
そしてヨハンソンは、一連の事態が起きた原因をようやく突き止めた。
その仮説を証明すべく、ヨハンソン、アナワク、リー司令官らはヘリ空母に乗りこみ、グリーンランド海に向かう。
そこで彼らが目にした想像を絶する真実とは何か? 最新科学情報を駆使し、地球環境の破壊に警鐘を鳴らす―
ドイツで記録的なベストセラーとなった驚異の小説。
      <文庫本下巻裏表紙粗筋より>



スケールが大きく、起承転結がはっきりしていて、映像が浮かびやすい物語。
長編だが面白く、最後までスムーズに読み進むことが出来た。
海洋SF冒険小説。
病原体都市に蔓延して、パニックの要素もあるが、こちらはあまり中からは詳しく書かれていない。
政治的な目論見も多少ある。
騒ぎが一応終焉した後に、宗教の問題も提示されているが、これは日本に住んでいると分からないこと。
長い分色々な要素が入り込み、考えさせられる事も色々。
登場人物も立場が違うから当然意見が違うので、どれが正しいと押し付けられている感じはあまりないのだが。
捕鯨については、日本が悪者に書かれている。
クジラは知能が高いから殺してはいけない、という。
単にそれだけを前面に出されても、ちょっと違う気もするし。

未知とのものに出会った時、どう対処するのか、人類は生物の中で1番優秀なのか、何を持って優れているとするのか。
大きな自然や数え切れない生物を考えると、人間は本当に傲慢だと思える。
人間同士でも上から目線の人とそうでない人の差は大きいが。

しかし、発展した科学をどの方向に向けるかで、世の中は大きく変わるだろう。
自分の中では、こういう世界があったらいいと思うのは、生物が殺しあうことなど全くない、ガニメアン(『星を継ぐもの』の続編『ガニメデの優しい巨人』に登場)だ。
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