しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「贖い主 顔なき暗殺者」  ジョー・ネスボ 

2018年09月28日 | 読書
「贖い主 顔なき暗殺者」  ジョー・ネスボ   集英社文庫    上・下巻
 REDEEMER  戸田裕之・訳

クリスマスシーズンのオスロで、街頭コンサート中の救世軍のメンバーが射殺された。
オスロ警察警部のハリーはこの件の捜査に当たるが、衆人環視のなかの事件なのに目撃証言がまったく得られないことに疑問を抱く。
一方、暗殺の実行犯は、すぐにオスロから脱出しようとするが、降雪で航空便が欠航になり、一晩滞在せざるを得なくなる。
翌朝、新聞を目にした彼は・・・。
      <文庫本上巻裏カバーより>

救世軍メンバー射殺事件の捜査チームは、犯人を特定し、クロアチア人の男を指名手配する。
その男は、契約を全うするため、厳寒のオスロで過酷な逃避行を続けながら、本当のターゲットを繰り返し狙う。
だが、名前が割れ、パスポートやクレジットカードが使えなくなり、手持ちの現金も底をつく。
さらに、銃弾を使い果たしたために・・・・・・。
      <文庫本下巻裏カバーより>







殺人事件を追う中に3つの物語。
ハリー・ホーレ自身のこと、“小さな贖い主”と呼ばれた人物、そして救世軍。
同時進行で書かれているので、殺人者がどんな人物かの興味も深くなる。
“小さな贖い主”はクロアチア紛争の中で付いた名前。
戦争の悲惨さは想像がつかないが、それを伝えてくれる。

始めの殺人の他にも、人が死ぬ。
それが、犯人像と合わないと思っていた。
結構複雑な展開。
細かい事から、事件を組み立てて行くハリーの推理。
謎解きもあり、ひとつひとつ納得させられた。
ハリーをめぐる物語も、波乱だらけ。
ハリーの同僚がまたこんな事になるなんて。
そして、理解者だった上司ビャルネ・メッレルが引退する。
そのメッレルの物語が、ずっと続いてきたトム・ヴォーレルとの物語に終止符を打つ。
これも、意外な展開だった。
事件を解決しても、すっきりとはせず、物悲しい。

これで『スノーマン』へと続く。

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