しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「倒錯のロンド」 折原一 

2009年11月22日 | 読書
「倒錯のロンド」 折原一     講談社文庫

山本安雄は33歳、推理小説作家を志していた。
目標は「月刊推理」の新人賞。
タイトルは「幻の女」と決っていたが、なかなか構想が生まれない。
自分の執筆予定からかなり遅れ焦りもあったが、ある日本屋で突然インスピレーションを得る。
書き始めると1日30枚以上書けた日もあり、無事締め切りに間に合う。
親友の城戸明に見せると、字が汚いからワープロで清書してくれると言う。
その城戸が、原稿を紛失してしまう。
その年の新人賞は「幻の女」、作者は白鳥翔となっていた。
「盗作じゃないのか」山本安雄は思わず口にする。

折原一さんのデビュー作とはならなかった作品。
1988年度江戸川乱歩賞の最終候補に残った作品。



読み進めている時は、面白いけれど、この物語で起こることに対する登場人物たちの反応が、かなり普通から離れているように思えた。
普通はそうじゃないだろう、と違和感が。
作り物過ぎている感じ。
それが最後まで読み進めたら納得、そして、それまでにあったことが一つずつ腑に落ちる。
しかし、その後からも意外な事実が分かり、最後まで色々と楽しませてくれる。
登場人物はみんな灰汁が強いので、感情移入をするというより、ちょっと離れて見ていると言う雰囲気。
あまり側に寄りたくない感じだから。

こんな複雑な物語を書いていたら、ちょっと現実が分からなくなりそう。
これが折原さんの始めの作品か、面白かった。
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