しましましっぽ

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「北京から来た男」  ヘニング・マンケル

2016年03月27日 | 読書
「北京から来た男」  ヘニング・マンケル  東京創元社    上・下巻


2006年1月。
スウェーデンのヘルシングランドの寒村、小さな谷間にあるヘレシューヴァレン。
住人は高齢者がほとんどだった。
その村のほぼ全員、19人が一夜にして殺される。
ヘルシングボリの裁判官、ビルギッタ・ロスリンはそのニュースを新聞で見てある事に気が付く。
そこは、亡き母親が子ども時代に過ごした村だった。
そこのアンドレン家の養女で、養父母も被害にあった事を知る。
ビルギッタは自宅にあった母親関係の書類や手紙を調べる。
そして、100年以上も前に、アンドレン一族の一人がアメリカに移住している事を知る。
“アンドレン”でパソコンで色々検索する内、ある事件の記事がヒットする。
それは、2006年1月4日、アメリカのネヴァダでアンドレン一家4人が惨殺された記事だった。
凶器は、ヘレシューヴァレンと同じなんらかの刃物だった。
ビルギッタはその数日後にあった健康チエックで高血圧で引っ掛かり、休養を取る事になる。
その休養日を利用して、ヘレシューヴァレンを訪れる。
遺族と言う事で、現場の家にも入るが、そこで古い日記を見つける。
そこにネヴァダの文字を見つける。










現代で起こった殺人事件。
1863年、中国から攫われ、アメリカで重労働をさせられたワン・サンの日記。
この2つの悲惨な出来事が、実は関係があったという物語。
中国からもアフリカと同じように、大勢の人が攫われて行っていたとは。
2つの物語から、“復讐”という繋がりは直ぐに浮かぶが。
それに、北京オリンピックの2年前の中国の現状の話しが加わる。
中国の歴史は、知らない事もあり勉強にはなる。
しかし、この中国の問題は、物語の中では少々中心から外れている気もする。
勢いのあった前半から、勢いが削がれた感じ。
最後はまた勢いが出て来るが。
もう少し説明して欲しい部分がいくつかある。
その分、すっきりしないで終わったので物足りなさを感じる。
2つの物語を、無理に1つにしたような印象も。
特に、ヤ・ルーと言う人物。
何故そこまでの復讐心を燃え立たせたのか。
そして、そこまで忠実に何でも実行したリュー・シンとの繋がりはどうして出来たのか。
それをあっさり裏切れる心持ちは。
ただ、狂気だけでは片付けてしまうのか。
中心人物として、もっと書いて欲しいと思う。
そして、赤いリボンの謎、名前不明の少年は。

中国の抱える問題は、この舞台から10年経とうとしているが、そのままなのかも知れない。
移民の話しは、日本人がブラジルに沢山行った事を思い出させるが。
移民は政策のひとつとして、どうなのだろう。
過酷では意味がないが、それによって社会が動く事もあるのではないだろうか。

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