しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「カインの傲慢」 中山七里

2021年01月30日 | 読書
「カインの傲慢」 中山七里   角川書店   

練馬区たけしたの森緑地で、埋められた少年の死体が発見される。
その少年からは臓器が持ち去られていた。
〈平成の切り裂きジャック〉事件との関連から、警視庁捜査一課の刑事、犬養隼人が担当することになる。
犬養は死体が埋められていた事から、関連は否定的だった。
部下の高千穂明日香や、地元の石神井署の長束と捜査を進める。
やがて、被害者の身元が明らかになり、新たな問題が浮かび上がる。

「刑事犬養隼人シリーズ」第5弾。







臓器売買の話は他でも読んでいる。
行きつく先は、解決の出来ない問題なのですっきりとしない事は分かる。
だから、今回は特に新鮮味はあまりない。
どこに話が落ち着くのだろうか、その興味。
しかし、犬養や高千穂の感情の表現は煩く感じる。
子どもが相手だからとその感情を押し付けなくても、もう分かったから、と。
世の中児童虐待などもっと酷いと思う事がある。
あまりにも単純に怒っていると、高千穂は世の中の事をそんなに知らないのかと思ってしまう。
臓器売買で問題なのは、違法な事だと分かっても、お金で他人の臓器を買おうとする人がいると言う事。
怒りを感じるのは、そちらの方の人ではないのだろうか。
警察の捜査はどこまで個人情報に踏み込めるのだろう。
手続きを踏めば、何でも知れるのだろうか。
今回に事件はレシピエントの方から探ぐるという手もあったのではないか。
こんな中にどんでん返しはあるのだろうかと思ったら、殺人犯がそうだった。
しかし、これは前にもあった、あり得ないだろう人を犯人にしたパターン。
もう少しこの人が殺人犯なのだと言う伏線でもあればまた違うのだが。
何とかどんでん返しを起こそうとしたとしか思えない。
その人が何故その罪に手を染めたのか、その動機などもしっかりあればいいのだが。
まして、今回は臓器売買と言う、普通にある犯罪ではないだけに、説得力のある動機でなければ納得出来ない。
陣野の問題も、狙われたのが少年の臓器だから本人ではない事は察しが付く。
その事に犬養は気が付かなかったのだろうか。
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