しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「隣はシリアルキラー」  中山七里

2021年01月27日 | 読書
「隣はシリアルキラー」  中山七里   集英社   

神足友哉はメッキ加工の〈ニシムラ加工〉で働き、その寮で生活していた。
仕事は集中力が必要な危険なもので、その最大の敵は寝不足だった。
熱帯夜が続く東京で、なんとか環境を整え眠る様にしていた。
しかし2日前から、真夜中から聞こえる隣室の音で睡眠を邪魔されていた。
隣室は中国から来た技能実習生の徐浩然(スーハイラオ)。
その音はまるで、何かを解体するようだった。
そんな妄想が膨らんだ時、近くで女性の死体の1部が発見される。
まずます疑いを強くした神足は徐の行動を見張る。
そして、徐の怪しい行動を掴むが、神足には警察に伝えられない理由があった。






タイトル通り、隣はシリアルキラーかも知れない。
音でだけの判断だったが、それがリアルに感じられて怖さが伝わる。
本の表紙もかなりおぞましいので、それに相まって怖さが増す。
そして、神足がその証拠を見つけた所までは、スムーズな展開だったのだが。
その後の神足の行動は、なんでそうなるのかと納得がいかない。
そんなに隠したい事があるなら、宮藤刑事を部屋に入れて話などしないのではないか。
それなら、証拠を見つけた時に直ぐに宮藤刑事に連絡すれば簡単にこの事件は解決したような気がする。
どんでん返しの中山さんなので、この後も見た目通りの結末にはならないだろう。
そう考えると、今回は登場人物が少ないので、何となく予想が付く。
読み進めて行くと、それを表す事が出て来る。
しかし、どんな理由があってそうなったのか、細部を知るのは楽しみだった。
だから、あまりに理不尽な理由に肩透かし。
そんなことで、殺意を抱くだろうか。
なぜそこまで歪んでしまったのか。そんなに大したことではないと思えるから。
この犯人は、心神喪失で罪に問われない事になるのだろうか。
最後は神足の気持ちもそれなりにまとめられる。
あんなに被害者の両親に同情していたのに、立ち位置が変わるとそうなるのか。

捜査に当たっていたのは宮藤刑事。
「セイレーンの懺悔」の宮藤刑事だと思うが、あまり切れは感じられない。
部下の葛城刑事の方が印象強く活躍していた。
名前だけ、宮藤のライバルとして犬養が出ていた。

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