しましましっぽ

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「特捜部Q―檻の中に女―」 ユッシ・エーズラ・オールスン

2021年02月02日 | 読書
「特捜部Q―檻の中に女―」 ユッシ・エーズラ・オールスン  ハヤカワ・ミステリ文庫      
KVINDEN I BURET            吉田奈保子・訳

コペンハーゲン警察殺人捜査課のカール・マーク警部補は2か月前の捜査で負傷する。
その時、2人の部下を失なう。
アンカー・ホイアは銃弾を受け死亡し、ハーディ・ヘニングスは半身不随となる。
カールは仕事への情熱を失ったまま復帰する。
カールは優秀な捜査官だが、変わり者で上手く付き合って行けたのはではアンカーとハーディだけだった。
カールを持て余していた上司は、カールに新しく作る“未解決事件を解明する特捜部Q”の担当にする。
これは政治的な観点から作られた、成果を期待されない部署だった。
しかし、予算はたくさん付き、その予算は他で使う算段をしていた。
“特捜部Q”のオフィスは地下室の奥にあり、担当はカールのみ。
カールは“特捜部Q”の予算の裏を知り、設備や雑用係を要求する。
それでやって来たのがシリア人のハーフェズ・エル・アサドだった。
アサドはカールより年上に見えた。
やる気のないカールに反して、アサドは事件記録に興味を持っている様子だった。
上司に何かしている所を示す必要と、アサドが興味を示したことで一つの事件の捜査が始まる。
それは2002年に起きた、ミレーデ・ルンゴー事件だった。
ロドビーからブットガルテンに向かう船の上から、31歳の議員のミレーデが忽然と姿を消す。
そして自殺として処理されるが、自殺の原因は見当たらなかった。






シリーズの1作目で「特捜部Q」がなぜ誕生したか、から。
カール・マークの人物像や、取り巻く人々の様子が丁寧に書かれ、興味深く物語に入って行かれる。
メインとなるミレーデ・ルンゴー事件の他にも現実に起こっている事件や、カールたちが襲撃された事件もあり、盛沢山。
それがどれもテンポよく進んで行くので邪魔にはならない。
2002年からのミレーデの様子も平行に書かれている。
ミレーデを恨んでいると言うこの事件の犯人は直ぐに予想が付く。
悲劇だが、その後の境遇がこれほど違ってしまったのは、周りにいた人たちのせいだろうか。
どちらの父親もそれなりの成功を収めていた人物だったのに。

面白いとあちこちで目にした「特捜部Q」。
評判通り面白かった。
カール・マークは、フロスト警部や犯罪心理捜査官セバスチャンを想像させる。
アサドの存在が面白い。
これから色々な事が分かって来るのだろう。
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