しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「リリス」 ジョージ・マクドナルド  

2005年12月13日 | 読書
「わたし」は先祖伝来の屋敷の屋根裏部屋にあった鏡から、別の世界に入ってしまった。
そこは、骸骨が踊ったり、小さい民族が大人にならずに暮らす不思議な国。
ある時、骸骨になりかけた女性を再生させるが、それはその国の女王で魔女のりリスだった。
小さい民族と協力してリリスを倒す。リリスを支配していたのは〈影〉だった。
アダムとイヴはリリスの〈影〉を取り払おうとする。「わたし」もそれを手伝い、達成された時に天国が現れる。
しかし、それは「わたし」の夢だった。しかし、やがて夢はひとつになる事を知っている。

イギリスの幻想小説家 ジョージ・マクドナルドが1895年に発表したファンタジー。
ルイス・キャロルやトールキンにも影響を与えた作家。
そう言われれば不思議の国の様子はアリスに似ている感じがする。
夢の世界はなんでも起こる。
生も死もあまり区別がないようで、生きる為に死んだり、死んでいても生きていたり。
「わたし」が冒険する世界は、始めは女王に支配され水がなく荒れていたのに、解放されると水のあふれる世界になる。
想像しつつ、映像で見てみたい風景だ。
風景とともに、かみ合わない、ゆったりとした会話が面白い。
ゆったりとした気分で、好きなページを繰り返し読みたい一冊。

荒俣宏氏のあとがきに「2つのことがらを憶えておくと一層楽しくなる」とある。
1つは W・ブレイクの四行詩『童心占徴』

ひとつぶの砂に世界を観る
一輪の野花に天界を眺める
汝(なれ)の掌(て)に無限を握れ
そして一刻(ひととき)のなかに久遠を

もうひとつは「リリス」という名の特別な意味
リリスはアダムの最初の妻とされる天使の名だが、悪業を重ね、ついにパラダイスから追放される女性。
アダムをイヴに奪われた事で天界の呪い、邪悪な力と結びついて魔女となる。
人間の子どもをいじめるのは、人間の子はアダムとイヴの子孫だから。
子守唄をララバイと言うが、ララバイはヘブライ語で「リリスよ去れ」の意味。

なるほど、納得。これを知って読むと確かに違う。

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