しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「犬の掟」  佐々木譲 

2016年08月27日 | 読書
「犬の掟」  佐々木譲  新潮社   

波多野涼と松本章吾は警察学校の同期。
巡査の時、人質を取った殺人犯を追って古倉庫に入り怪我をした波多野を、松本が救った事があった。
それから7年後。
刑事課勤務になった2人は、ある事件で係る。
蒲田で起きた暴力団の幹部深沢が射殺体で見つかった事件。
蒲田署に勤務する波多野は盗犯係だったが、応援で地域の聞き込みに加わる。
相棒は、奇しくも蒲田署に異動になったばかりで、7年前の事件の時も組んでいた先輩の門司孝夫。
暴力団同士の抗争かと思われたが、それらしき感触が感じられない。
一方、警視庁捜査一課の松本は、綿引壮一警部補と共に、管理官の伏島から極秘の任務を与えられる。
深沢の殺害の状況が、2年前に事故死と判断された室橋という男と似ていると言う。
そして、深沢と室橋にはある共通点があった。
それを考えると、犯人は警察官の可能性が浮かび上がる。
松本と綿引は2人だけで、その調査にあたる。









2つの捜査チームが同じ事件を見ている。
それぞれ時差はあるが、気が付いていく事は同じ。
2度繰り返されるので、進展が少々遅く感じる。
全体像が登場人物よりも先に見えるから、犯人の予想も多分早く付く。
どうして、そうなったのだろうと。
動機がいまひとつしっくり来ない。
ただ壊れているだけなのか。
そして、復讐とは命を奪う事だけなのか。
裏社会のエピソードも辛い物ばかり。
後味も悪く、暗い物語。

あの時死んだも同じだから、その後の人生はないのか、
あの時生かされた命だから、大事にしようと思うのか。
考え方ひとつで人生も変わる。
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