「ラスト・コヨーテ」 マイクル・コリナー

「ラスト・コヨーテ」　　マイクル・コリナー　　　扶桑社ミステリー　　　上・下巻
ＴＨＥ　ＬＡＳＴ　ＣＯＹＯＴＥ　　　　　　　　　　古沢嘉通・訳

ロサンジェルスを襲った大地震は、ボッシュの生活にも多大な影響を与えた。
住んでいた家は半壊し、恋人のシルヴィア・ムーアとも自然に別れてしまう。
そんななか、ある事件の重要参考人の扱いをめぐるトラブルから、上司のパウンズ警部補につかみかかってしまったボッシュは強制休職処分を受ける。
復職の条件である精神分析医とのカウンセリングを続ける彼は、ずっと心の片隅に残っていた自分の母親マージョリー・ロウ殺害事件の謎に取り組むことに。
　　　＜文庫本上巻裏カバーより＞

３０年以上前に起きた母親マージョリー・ロウ殺害の謎を追いかけるボッシュ。
単独捜査の過程で彼は一人の女性と出会う。彼女の名はジャスミン。
毎日絵を描いて過ごしているというのだが、ボッシュは彼女の自画像の奥に色濃く残る暗闇の影に、自分と同質のものを感じ取り、二人は愛し合う。
やがて、事件の黒幕に潜むのは元地区検事局長で今は引退の身であるアーノウ・コンクリンであると確信したボッシュは、直接彼と対峙することに。　
＜文庫本下巻裏カバーより＞

「ハリー・ボッシュ」シリーズ第４弾









母親の事件も単純な物ではなかった。
まさか、こんな事になるなんて。
１作目から触れられていた母親の事件は解決するが、読み始めてから思ってもいない結末。
母親を亡くし、養護施設に入っていたことがボッシュの性格に大きく影響していた。
事件に取り組んで、改めて母親が自分の事を考え愛してくれていたかを知っただろう。
しかし、また別の苦しみや辛さも与える物になった。
それも、ひとつではなく。
感情の爆発と悔恨、そして潔さもあるボッシュ。
これからどうなっていくのだろう。

物語は、小さな手がかりから次へ進んで行く。
その過程が丁寧に書かれているので納得出来る。
ボッシュはなかなかの策略家。
誰かに会いたいと思えば、色々な手を使って成功させる。

捜査する時にパウンズの名を使った事で起こる事件。
まさかこんな事になるなんて。