しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「沈黙の書」  乾石智子

2016年07月29日 | 読書
「沈黙の書」  乾石智子   東京創元社   

コンスル帝国建国前627年。 
〈風森村〉に生まれる子どもたちは、何かしらの力を持ちそれに相応しい名前を持っていた。
風を操る力を持つ「風の息子」、その弟ですばしこい「山をまたぐウサギ」。
天候を操る力を持つ「雨の娘」、月の光の癒しの力を持つ「三日月の望み」など。
風の息子が13歳の時、〈風森村〉に突然騎兵がやって来る。
そして、〈風森村〉がケスル同盟の1領土になったので、7歳から14歳の子どもを訓練するためにオロッコーに連行する、と。
オロッコーでは選別され、〈風の息子〉は自分の力を強く操る事を訓練される。
そして新しい名前、ヴェリルを与えられる。
やがてオロッコーが攻められた時、兵士をして駆り出され風の力を使う。
その戦いで「馳せる火」フラバが死に、ヴェリルも相手の少年兵を殺してしまう。
ヴェルリは、オロッコーを逃げ出す決意をする。







戦いと混乱の中で、生き抜く〈風の息子〉ヴェリルの物語。
彷徨う先々で翻弄されるヴェリル。
現実の他に、過去の神官の息子ヒアルシュの人生も一緒に体験させられる。
自分の力では太刀打ち出来ない物にも、屈することのないヴェリル。
戦わずに、平和を求める事を〈星を支える竜〉と出会って決意する。
しかし、それは容易でない世界。
そこまでも戦いが続く混沌とした悲惨で暗い時代。
それは現在とあまり変わらないのかも知れない。
平和を求め、あがくヴェリルは今もいるのだろうか。
物語は、最後にはなんとか穏やかさを取り戻して、希望を持たせようとする。
以外と型通りのファンタジー。
ラストは、ここまでで終りにしようと、あさっりとまとめてしまったような。
あれほどの脅威と書かれていた蛮族が、あっさり退却するだけの力はどこにあったのだろう。

「空と大地のあいだ」オルリアルラント。
言葉の満ちてる大地、オーリエラント。

未来を予言している〈沈黙の書〉。
しかしそれは変えられる事をヴェリルは知る。
決まった未来なんてないのだ。
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