ウインストン・チャーチルの名言に「悲観主義者はあらゆる機会に困難を見出し、楽観主意者はあらゆる困難に機会を見出す」という言葉がある。ゴールドマンザックスが米国証券取引員会に訴追された件を見ているとふとこのパロディ版を思いついた。
「投資銀行マンはあらゆる困難に収益機会を見出し、規制当局はあらゆる収益の中に不正取引を見出そうとする」
投資銀行マンは、借金に苦しむ人の中にもビジネスチャンスを見出す。例えば通常では住宅融資を受けられないような人向けに作られたサブプライム・ローンを証券化することで大きな市場を作り、サブプライム・ローン拡販の原動力となった。
ギリシアのように追加の借金ができなくなった国には、資金調達手法としてのデリバティブを「これは借金ではなくスワップ取引である」と売り込む。モラルの問題は別として、投資銀行マンという人種があらゆる困難の中にビジネスチャンスを見つける努力をしていることは間違いない。時としてそれがモラル・ハザードの問題を起こすことはある~結構大きな問題なのだが~が、一方経済の活性化に大きな役割を担っていることは事実だ。
ゴールドマン・ザックスの訴追について、ことの成り行きを予想するのは時期尚早だ。アイスランドの火山爆発と引っ掛けてエコノミスト誌はA volcanic cloud over Wall Streetという題で、ゴールドマン・ザックスの訴追の影響はかなり大きなものになるのではないか?という見解を示している。ゴールドマン・ザックスが組成したCDOを購入して、大損を蒙った投資家の中には破綻しそうになり国家支援を受けた英国やドイツの銀行があり、これらの国が同社に対して法的措置を求める可能性があるからだ。
さてこのように不安定な材料が噴出したので、金曜日の米国株そして今日の日本株は大きく下げた。これを株価が急上昇していたので、テクニカルなコレクション(水準訂正)の時期に来ていたと見るか、何かファンダメンタルな変化が起きる予兆とみるか、見方は分かれるところだ。前者の立場に立つと、もう少し株価が下げると買い局面という判断が成り立つ。
今の私はやや前者の立場寄りだが、もう少し状況を見たいと考えている。チャーチルの言葉をかみしめながら。
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