金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
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米雇用統計・ISM景況指数好調で米株高でもドル安に

2016年04月02日 | 投資

昨日米国労働省が発表した3月の非農業部門雇用者数は、事前予想(20.5万人)を上回る21.5万人だった。失業率は前月比0.1%上昇して5%になった。これは失業者が再び求職活動を開始したことにより求職者数が増えたことを意味する。労働参加率は63%に上昇した。

求職者数の増加は、賃金の上昇に歯止めをかけ、連銀の政策金利引上げを急ぐべきではないというスタンスを後押しした。

同日発表されたISM製造業総合景況感指数は51.8(2月は49.5)に上昇した。

株式市場は米国経済の好調さを好感し、ダウ・S&P・ナスダックとも上昇。ダウは107.66ポイント(0.61%)上昇した。

昨日の日本株は日銀短観で景況感指数が大幅に悪化したことを受けて大きく値下がりした(日経平均は594.51ポイント・3.55%下落)。

これらの情報を素直に解釈すれば、ドル高・円安に向かうはずだが、実際にはドルは111円代半ばまで80銭以上下落した。

WSJドル指数(16通貨のバスケットインデックス)は午前中は上昇したが、午後には下落に転じた。

米国の雇用統計の中身を見ると、工業部門の雇用が2.9万人減少しており、これは世界的な景気減速とドル高による輸出不振の影響が出ていることが分る。

連銀のイエレン議長の「世界経済の減速を見据えて、金利引上げに慎重に取り組む」という姿勢は、同議長のこれ以上のドル高を望まないという意向を反映しているといえる。

金利引上げ時期が遅れるということで、ドル高に懸ける投機筋が尻込みしていると思われる。

ただしどう考えても、景気の悪い国の通貨が景気の良い国の通貨より強い状態が長続きすると考えるのは、私の経済的直観に反している。

証券投資の動きを見ると、外国人投資家は日本株を売りに回り、日本人機関投資家はドル債を買いに回っている。需給面では円安・ドル高に向かうはずなのだが、投機筋の思惑は読み難い・・・・

円高に賭けてきた連中はどこかでポジションの巻きなおし(円売り・ドル買い)に入るだろう。そこで円安・ドル高の動きがでると思うのだが(希望的観測をこめて)。

なお為替を巡る日米中央銀行の綱引きは、どう考えても米連銀に勝ち目がある。日銀の追加緩和策だけで円安に向かうとは考え難い。ただし日銀の緩和策が上記のポジション巻き直しと連動する場合は効果がでるかもしれないが・・・

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