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コミ―FBI長官解任は、1993年の長官解任より世論は不評

2017年05月13日 | ニュース

今週トランプ大統領がジェームス・コミーFBI長官を解任したニュースが耳目を集めている。

ブルンバーグは「FBI(連邦捜査局)がトランプ大統領の選挙キャンペーンとロシアとの関係について捜査を進める中でのトップ解任だから、大統領自身に火の粉がかかる可能性がある」と報じている。

トランプ大統領がロシアとどのような関わりがあったか(なかったか)ということについて、詳しい情報を持ち合わせていないし、現段階で特別な関心もない。

関心があるのは、この件が政権運営にどのような影響を及ぼすかという点である。

過去にFBI長官が任期中に解任された例は一件しかない。その一件はクリントン大統領が1993年にウイリアム・セッションズ長官を解任した件だ。

ギャラップはこの件と今回の件に関する世論調査の結果を比較している。

セッションズ解任について当時の世論は44%が是認・24%が否認・意見なしが32%だったが、今回のコミ―長官解任については、是認39%・否認46%・意見なしが15%で、否定的な見方を示す人が多かった。

理由はトランプ大統領が不人気だからではない。長官解任直前の大統領支持率は41%だった。これは奇しくもセッションズ解任直前のクリントン支持率と一緒だ。

今回のFBI長官解任が不評なのは、解任理由やプロセスに不明な点が多いからだ。セッションズ解任の時は司法省が彼の税金と国有財産を不正に取り扱っている可能性があるというレポートを事前に提出していた。

今回ホワイトハウスは当初は司法省のローゼンスタイン副長官がFBI長官はヒラリーの電子メール疑惑について捜査指揮が不適切だったというレポートに基づいて、解任したと発表していた。しかしその後トランプ大統領は事前にコミー長官の解任を決めていたとホワイトハウスは明言している。

マスコミの中には「FBI長官解任は捜査妨害だ」と書くところもでている。

このような不透明さが世論の不評につながっている。なお本件に関する世論は支持政党色がはっきりでている。共和党支持者の79%は解任を支持し、反対は13%。一方民主党支持者の78%は解任に反対し、指示したのは14%に留まった。セッションズ解任ではこれほど政党色ははっきりでていなかった。

なお長官解任前後でトランプ大統領に対する支持率は41%で変わっていない。トランプ大統領には目下のところ一定の岩盤のように強い支持基盤があることは事実として見ておいた方が良いだろう。

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