金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
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信州南北2つのスキー場で連荘、スキー場のこれからを考えた

2022年03月17日 | スポーツ
 先週末から今週前半にかけて(3月11日~3月16日)、2つのイベントで信州のスキー場を続けて回りました。同じ宿に泊まり続けながら別のスキー場に行くということは時々やることです。例えば白馬八方スキー場の宿に泊まって栂池高原スキー場に行くという具合に。
 しかし150㎞も離れたスキー場に連続して行くのは今回初めてです。
 最初に行ったのは志賀高原。焼額山プリンスホテルに泊まって焼額山スキー場や寺子屋スキー場、更には車で移動して横手山や渋峠スキー場を滑りました。志賀高原スキー場というのは、長野県北部志賀高原に点在する18のスキー場の総称なのです。
 今回志賀高原に行ったのは、私たちの山の会のスキー好きメンバーで基本的にはゲレンデスキー仲間です。
 後半戦に行ったのはMt.乗鞍スノーリゾートです。このスキー場は乗鞍岳の東山麓に位置します。
 志賀高原からの距離は150㎞。2つのスキー場は安曇野を挟んで、対角線上に位置します。志賀高原の中で一番標高が高いのが、横手山スキー場と渋峠スキー場です。横手山は分水嶺上のピークで、その東側(群馬県側)に降った雪、つまり渋峠スキー場の雪は溶けると太平洋に流れ、西側(長野県側)、つまり横手山スキー場に降った雪は溶けると日本海に流れます。
 一方乗鞍岳も分水嶺上のピークです。日本の大分水界最高峰が乗鞍岳なのです。乗鞍岳の東側に降る雪は梓川となり、信濃川に合流して日本海に流れ、西側に降る雪は木曽川に流れ込み太平洋に注ぎます。また北側に降る雪は神通川に流れ富山湾に注ぎます。
 今回Mt.乗鞍スノーリゾートには、学生時代のクラブ(山岳部)の同級生3名との同期会スキーで出かけました。私以外の3名は関西在住なので、関西と東京の中間点に近いスキー場ということでここを選びました。
 さて今回泊まったペンションマドンナが大変素敵な宿だったので、Mt.乗鞍スノーリゾートの応援と発展のため、一人のバックカントリースキー愛好家としてアドバイスを述べてみたいと思います。
 長野経済研究所が発表している2020年度の主要スキー場利用動向調査によるとMt.乗鞍スノーリゾートの利用者数は48千人で前年比27.2%減です。長野県全体でのスキー場利用者数は、2,704千人で前年比38.7%減です。
 2020年度のスキー場利用者が大きく減った原因はコロナの影響で県外からの来場者が減ったことにあります。特にそれまで外国人スキーヤーに人気が高かった白馬八方尾根などの落ち込みが目立ちました。それに較べてMt.乗鞍スノーリゾートの対前年比落ち込み幅は小さいのですが、これは外国人スキーヤーを含む県外スキーヤーの来場者割合が以前から低いことにあると私は考えています。
 さてMt.乗鞍スノーリゾートの年間利用者数48千人は、アクセス時間的(松本からの車による移動時間)に競合すると考えられる白馬八方尾根スキー場の168千人や白馬五竜・47の214千人と較べるとかなり少ないと思います。
 白馬八方尾根スキー場は約200haという広大な敷地にゴンドラ1基、クワッドリフト5基を備え、最長距離8千メートルというスケールの大きなスキー場です。一方Mt.乗鞍スノーリゾートは面積135haの敷地にクワッド2基、ペアリフト5基(2基は休暇村)、3人乗り1基、最長距離5千メートルという規模です。Mt.乗鞍スノーリゾートは、面積はかなり広いのですが、中間部に緩斜面が広がりチャレンジングなコース面積は少ないような気がしました。
 数字だけでは分からないので、今回私が実際に滑った印象を他のスキー場などと比較して述べてみたいと思います。
  1.  上級斜面が下部と上部に点在し、広大な中間部に緩斜面が広がるというレイアウトでかつリフト間のつながりが悪く歩く箇所が多い。
(コメント)メインゲートの第一駐車場から登る稼働中のリフトは1基で、このリフトに降りてくる中級コースは1つだけで、他に4つの非圧雪エリア(上級)があるが、非圧雪エリアを滑った後リフトまで歩く距離が長いコースがある。初心者は林道迂回コースを滑ることになる。この時期非圧雪コースの雪はべた雪であまり快適でなかった。
2.最高地点の「かもしかゲレンデ」は快適だがやや単調。また下のリフトとのつながりが悪い。
 最上部が標高2千メートルに位置する「かもしかゲレンデ」は最大斜度35度の1枚バーンで上から見て左に行くほど難度が高く、一番左は非圧雪エリアになっている。一気に下まで滑ると気持ちが良いコースだが、雪が緩んでいたのでやや単調な滑りになった。
(コメント)非圧雪部分の更に左は樹林帯だが、もし樹林帯の中を滑るルートがあれば(行っていないのであるかないか不明だが)非圧雪愛好者が喜んで滑りそうだ。かもしかゲレンデの上から右側は中級者斜面ということになっているが、滑ったところ上級者向けの中央斜面と余り差が感じられなかった。
 ここの中級者向け斜面はクラストするなど雪の状態によっては、少し手強くなるかもしれないと感じた。
 かもしかゲレンデに登るには「夢の平クワッド」リフトから「かもしか」リフトに乗り継ぐ必要があるが、この間を歩く必要がありかったるい。
(写真は夢のクワッドリフト乗り場からみた上部)
【Mt.乗鞍スノーリゾートが伸びるとすれば】
 私が人気が高いと感じているスキー場はそれぞれの特徴があります。たとえば越後湯沢に近い「かぐらスキー場」は、上部エリアを目指すスキーヤーの過半はファットスキーを履いています。最上部の第5ロマンスリフトから非圧雪エリアが広がり、パウダーフリークの聖地となっているからです。もう少し下のジャイアントコースも新雪時には楽しいコースです。つまり「かぐらスキー場」は首都圏の新雪愛好者に強い人気があります。
 一方この前滑った志賀高原ではほとんどファットスキーを見かけませんでした。ここは圧雪バーンを気持ちよく飛ばす人やカップルなどに人気があるスキー場です。また若い人中心にプリンスホテルのバイキングも人気があると感じました。
 さてMt.乗鞍リゾートでもっと利用者を増やそうと考えるならば、特徴を打ち出すことを考える必要があります。なぜかというとこのスキー場の松本からみた時間距離は白馬八方尾根方面と同じ1時間(車での時間)なのでもろに競合する可能性が高いと思います。
 標高が高く乾いた雪が降るという特徴はありますが、反面相対的に積雪量が少ないという弱点があります。
 リフトの構成を変えるなど大掛かりな設備投資を行わずに、Mt.乗鞍スノーリゾートの人気を高める方法の一つは、オフピステ(非圧雪エリア)の拡張とガイド付きバックカントリースキー(またはボード)の拡張です。
 私はボーダーではないのでスノーパークについての可能性は分かりませんが、もし広大な中間地帯にスノーパークを作れば若者を呼び込むことができるかもしれません。ただし時間距離が同じ競合先の状況をよく調べる必要があるでしょう。
 また広大な緩斜面をどう活用するか?も検討課題だと思います。ここは初級者のスキー技術習得に適した斜面なので、初心者や昔スキーをしていて再開したいと考えるシニア向けのレッスンには非常に適した斜面だと思いました。
 このような対象者向けのパッケージを企画すると面白いかもしれませんね。
 バックカントリースキーについては、ガンガン新雪に飛び込むパウダージャンキーを対象とするより、自然の中を歩くことを楽しみとする中年以上の山スキーヤーを狙うのが良いでしょう。何故ならリフトと地形の関係からMt.乗鞍スノーリゾートではパウダージャンキーが飛びつくような斜面を提供することが難しいと考えるからです。たとえば白馬八方尾根スキー場では、リフトを降りてすぐ飛び込める裏黒菱や少しシールハイクして八方池辺りから滑るルートがありますが、これに匹敵するルートをMt.乗鞍スノーリゾートで見つけることは難しいでしょう。
 一方Mt.乗鞍スノーリゾートの最高点(かもしかリフトの終点)からシールを付けて位ヶ原に登っていくルートは、しばらく樹林帯の中の登りが続きますから標高2千メートという高度にもかかわらず、八方尾根のように強風にたたかれるということはありません。滑る方もこのルートは滑落や雪崩の危険が少ないので、山スキーの経験が少ない人でも楽しむことができます。
 「天気が良かったら乗鞍岳(剣ヶ峰)か肩の小屋を目指しましょう。天気が悪ければ樹林帯の中で引き返しましょうね」とシールを着けて登るのが面白いと思います。
 軽いシール歩きを楽しみたい人は、針葉樹の森の中でお湯を沸かしてコーヒーを飲んだり、ワインを楽しんだ後、比較的緩い斜面の新雪滑りを楽しんで帰ることができます。
 既にツアー用の標識(番号板)が整備されているので位ヶ原までのバックカントリースキーは初心者向けということができます。
 ただ最初はガイドさんについて、道具の使い方など指導を受けた方が良いことは間違いありません。
 いずれにせよ何か特徴を出して差別化できるかどうかが、Mt.乗鞍スノーリゾートにとって重要な課題だと思います。しかしパワースキーヤーを呼び込む点では、白馬八方などに劣るような気がします。ですから端的にいうと時間と多少の経済的余裕のあるアクティブなシニア層をいかに取り込むか?ということが利用者を伸ばす鍵だと思いました。



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