金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

「不老脳」シニアのチャレンジ精神を鼓舞する一冊

2023年04月23日 | 本と雑誌
 最近和田秀樹さんの「不老脳」(新潮新書)を読みました。ほぼ1日ですっきり読める良い本だと思いました。私にとって。
 自分にとって良い本(ノンフィクション)とは何でしょうか?
 それは①著者の意見に7,8割賛同できる。②7~8割程度は既知の話で2~3割程度新しい知識を得ることができる③論旨が一貫していてブレが少ないからすっきり頭に入るということだと私は考えています。すっきり頭に入るから身になって具体的な行動指針になります。
 その点で「不老脳」は私にとって良い本でした。
 まず和田さんがこの本で何を言いたいか?を考えてみました。
 実はあんまり強く打ち出していないと思うのですが和田さんが一番言いたいことは「人生は楽しんで生きなければ意味がない」ということなのだと私は思いました。シニアになってもつまり人生の後半戦になっても楽しく生きるためには「前頭葉が機能不全に陥らないようにする」ことが大切だと和田さんは強く訴えています。なぜなら前頭葉が「自己認識」「自己抑制」「やる気」「ソーシャルスキル」など人間らしい生き方に関わる脳の働きを担っているからです。
 そして和田さんは「前頭葉を鍛えるには①二分割思考をやめる②人生実験をする③運動する④人とつながる⑤アウトプットをこころがけることが大切」と述べています。
 この本のから学ぶ具体的な行動指針はこの5点です。
 逆にいうともしこの5点を実践しているならば敢えてこの本を読まなくても良いかもしれません。
 もっともどんな素晴らしい行動指針にしても結論だけを聞いて腹落ちするとは限りません。腹落ちするには「なぜそうなのか?」という理由をしっかり理解したいという人もいるでしょう。
 その人はこの本を読んでみることです。そうすれば大脳の役割、認知機能等の理解が深まり、前頭葉の重要性を再認識すると思います。
 ただし私はこの本が言っていること総てに賛同している訳ではありません。
 和田さんは「楽しいことにお金を使う」という項目で、「70代、80代になって『貯金が減らないなあ』と思ったら、前頭葉を使うためにも、ためらわずお金を使って行動してほしいものです」と述べています。
 しかしこれは今後のインフレの進行や社会保険料の負担増、マクロスライドによる公的年金の実質目減りなどを跳ね返す収入源や資産を持っているごく限られた高齢者に当てはまる処方箋だと私は思います。正直なところ3,4千万円の金融資産を持っている層の人ではそこまで大胆に振る舞える人は多くないと思います。つまり9割以上の高齢者は「将来の生活資金が減ることに漠然とした不安を抱えつつ、限られたお金で効率よく楽しみを求めている」のだと思います。
 もっとも他人と100%意見が合うことなどありませんから、この点で著者と意見が異なって良いと思います。本からは時分に必要なことを学べば良いと思います。

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