石破首相は6月13日、物価高対策として、国民1人2万円の現金給付を参院選公約に盛り込むことを検討するように自民党幹部に指示をした。子どもと住民税非課税世帯の大人には2万円を上乗せし、計4万円とするということだ。
首相は「現金給付について、決してバラマキではなく、本当に困っている人に重点を置いた給付金だ」「給付に必要な予算規模は3兆円台半ばで財源は税収の上振れ分で赤字国債には依存しない」といっている。
だがこの石破首相の発言に強い違和感を覚える人は多いのではないだろうか?
4月17日の読売新聞(朝刊)には次のような記事が出ている。
注目しておきたいのは、記事の次の点だ。
「ダメ押しとなったのは、世論調査の結果だ。(4月)11~13日に行われた読売新聞の全国世論調査で、一律給付が効果的だと「思わない」との回答が76%に上がった。」という点だ。
もし現時点で世論調査を行って4月時点の調査と結果が変わらないとすると自民党の選挙公約は選挙民に届かないということになる。
そもそも4月のバラマキ批判の後、2カ月間考える期間があったのにも関わらず、同じような案の蒸し返ししか出てこないのでは、政策立案能力を疑わざるを得ない。
もう一つ大事なことは、国家予算の財源はTax payers money(税金を支払った人間のお金)という考え方がモノゴトを考える上で軽視されているのではないか?ということだ。税金は納税者のお金ということを忘れて、票集めに使ってはいけない(今回の公約が票集めになるかどうか疑問だが)。
では政府は何をすれば良いのか?
それは「米百俵の精神」で、リカレント教育支援に使うべきだと私は考えている。
「米百俵の精神」というのは、戊辰戦争に敗れ、困窮を極めていた長岡藩に救援米百俵が送られてきた時、執政の小林虎三郎がその米を売って学校を建築することを提案したことだ。多くの藩士は飢えをしのぐために米を配分することを望んでいたが、小林虎三郎は教育という先行投資を重視したのだ。
長期的なインフレ対策の大きな柱は、人材の流動性を高めて、需要構造や生産技術の変化に合わせて、大胆に産業構造の変化に対応できる社会経済体制を作ることだ。さもないと物価上昇を上回る賃金水準を維持することは難しい。
そのためにはリカレント教育を一層促進すべし、というのが私の持論だ。
今一人に2万円を配るより、それを教育財源に人を育てたら、やがて10万円、20万円の実入りにつながるのではないだろうか・・・・

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