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「自由に遊び、自由に死にたい」(野田知祐さん)のエッセーを読んで

2016年02月17日 | ライフプランニングファイル

アウトドアショップ・モンベルの季刊誌OUTWARDの今春号に載っていたカヌーイスト野田 知祐さんのエッセーのタイトルは「自由に遊び、自由に死にたい」でした。

野田さんはまず約50年前に海でのモリ(銛)突きによる魚獲りが趣味だったオーストラリアのホルト首相が海で行方不明になった話から書き起こします。

野田さんは「その時世界中がこの国の健全さに驚いた。一国の首相の最大の趣味がアウトドア、魚突きだったのだ」と述べています。

もっともホルト首相の行方不明については「自殺説」や「某国のスパイだったので逃亡したという説」があり、単純にこの国の健全さに驚いたと評価して良いのかどうかは疑問は残ります。

ただ長野県の八方尾根などにスキーに行くとスキー場のコース外の新雪を求めて、バックカントリーに飛び出していくオーストラリアから来たスキーヤーやボーダーを見かけると、オーストラリア人は本当にアウトドアが好きなのだなと思います。

野田さんのエッセーの最後のエピソードはアラスカ最北端のブルックス山脈にチャーターした水上飛行機で入り、ボートで川を下る話で終わります。

水上飛行機のパイロットが別れ際にこう言いました。

「遭難したら文明社会に帰れないからな。気をつけていってくれ。このあたりのクマは死んでいる人を見つけると、頭だけを持っていく。クマは丸いものが好きだからね。一日中君の頭を転がして遊ぶんだ」 これを受けて野田さんは「ヘッドレス・バレー(首なし谷)という名の谷があったことを思い出した。こういう死に方も悪くはない」と結んでいます。

国内外の川をカヌーで旅してきた野田さんならではの達観でしょう。

個人的には自由に遊びたいのは大賛成ですが、アラスカの山の中で行方不明になると家族や友人に迷惑をかけるのでできれば避けたいと思ってはいますが・・・

さて今日本の政治家やビジネスマンのスキャンダルを見ると収賄・不倫・タクシー料金の踏み倒しと運転手への暴力・・・などお粗末な話が多いと思います。

世の中をリードするべき人がなぜこのようなお粗末なことをするのか?

それについて私は自分で挑戦するフィールドを持っていないことにあるのではないかと私は考えています。

野田さんのエッセーからの孫引きですが、ツーリング・カヌー好きだったカナダのトルドー元首相に「汽車で100マイル行っても、馬鹿は馬鹿のままだが、カヌーで1マイル行くと人は皆、自然が好きになる」という言葉があるそうです。

現在の日本に当てはめると「車で20km山の中をドライブしても得るものはあまりないが、自分の足で1kmでも2kmでも山を歩くと自然が好きになるとともに自分や人に謙虚になることができる」ということができると思います。

挑戦し続けるフィールドがないと人は駄目になるということなのでしょう。

 

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2 コメント

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自由に遊び、自由に死にたい (後和 拓延)
2016-03-17 01:49:13
野田知佑さんのエッセイを読み感じたことが、同じように感じて書かれているので嬉しく思いました。
私が若い頃モータースポーツが好きだった頃感じたことですが、この国は遊び=悪と思われているのだなと....
今は随分浸透しましとたが、遊びとは文化を育み心を豊かにする言うことをもっと広めたいですね。
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自由な、死に方 (今井一彦)
2016-11-25 07:58:16
今、この国には、自由に死ねない。中には、孤独死と言うのもあるが、チッよっと違う、お役人の硬い頭を、柔らかくしないと、山で滑落死等も、人に、迷惑かけずに、死にたいものだが、難しい日本の自由。
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