このところの日本株の下げは激しいですね。グーグルファイナンスで見ると過去1カ月の間に日経平均は16.3%下落しています。ダウは0.92%の上昇となっています。
今回の日米の株価下落の最大の要因はアメリカの景気後退懸念ですが、アメリカの株価下落を上回るペースで日本株の下落が起きていることを見ると、海外投資家などが年初来、利益が出ている資産を売却する動きを強めている気がします。
昨今新NISAなどで投資を始められた人の中には必要以上に不安を感じている人がいるかもしれませんが、私自身はそれほど慌ててはいません。それは今年の前半に人工知能ブームでアメリカのチップメーカーなどの株価が相場を押し上げ過ぎていたからです。
つまり株価は実力以上に高い値段で買われていたため、調整が必要だったのだと考えています。
そのきっかけの一つが、政策金利引き下げを見越した先月起きたハイテク銘柄から出遅れ銘柄や小型株へのローテーションです。
そして先週発表された雇用統計などの経済指標の悪化がリセッションを示唆しているという投資家の恐れからくるリスク回避の動きです。
WSJには「サーム・ルール」の話がでていました。これは経済学者クラウディア・サーム博士によって考案された景気後退を予測する指標で「直近3カ月の失業率の平均が、過去12カ月の最低失業率を0.5%以上上回った時、景気後退に入ったと判断する」というものです。先週発表された雇用統計により、過去3カ月の平均失業率は4.13%でこれは昨年の最低水準3.6%を0.5%以上上回ったので統計的に景気後退に入ったと考えた人がいたということです。
もっともこの統計的な法則を発見したサーム博士自身「経済がただちに景気後退の瀬戸際にあるとは考えていない」(WSJ)そうですから、天変地異が起きるほど驚くことはないでしょう。
楽観的なことをいう訳ではありませんが、大統領選挙の前にリセッションが起きると現職の大統領が不利になる傾向が強いということですから、民主党政権としては、リセッション回避のために何か手を打つ可能性があるのではないか?と私は考えています。
それに7月の雇用統計はハリケーンの影響で弱い数字がでているという見方もありますからもう少し全体を見渡した方が良さそうです。
いずれにせよ今年の前半飛ばし過ぎた反動がきていることは間違いありませんね。