明日(7月20日)行われる参院選挙は、与党の敗北が内外で予想されている。WSJなどアメリカのクオリティペーパーに日本の記事が載ることは本当に少なくなったが、与党苦戦はさすがに記事になっていた。
Janan's prime minister faces electoral testのポイントを紹介すると次のようなものだ。
「日本の首相、石破茂氏が日曜日の参議院選挙で重要な選挙の試練に直面しており、選挙で過半数を確保できない場合、辞任の圧力が高まる可能性がある。
物価上昇が続く中、有権者の予算が圧迫されており、賃金の伸びが価格上昇に追いついていない。
米国の関税免除を獲得できていない日本政府への不満が高まっており、野党は石破政権の交渉能力に疑問を呈している。
野党による拡張的な政策提案が日本の財政健全性への懸念を引き起こし、30年国債利回りが記録的な高値に達している。
石破政権が敗北した場合、消費税減税の可能性が高まり、国内外の投資家が国債購入を控える可能性がある。
政治的変化は日本銀行(BOJ)の政策にも影響を与え、次期首相が緩和的な金融政策を支持する可能性がある。」(AIによる要約)
物価上昇が続く中、有権者の予算が圧迫されており、賃金の伸びが価格上昇に追いついていない。
米国の関税免除を獲得できていない日本政府への不満が高まっており、野党は石破政権の交渉能力に疑問を呈している。
野党による拡張的な政策提案が日本の財政健全性への懸念を引き起こし、30年国債利回りが記録的な高値に達している。
石破政権が敗北した場合、消費税減税の可能性が高まり、国内外の投資家が国債購入を控える可能性がある。
政治的変化は日本銀行(BOJ)の政策にも影響を与え、次期首相が緩和的な金融政策を支持する可能性がある。」(AIによる要約)
WSJの読者であるアメリカの経済・金融関係者の関心は、日本の国債利回り・為替・日本株動向だ。
この記事は、石破政権の敗北で消費税の削減等による財政悪化などで国債利回りの上昇などが起きることを示唆している。日本の長期金利上昇は日米の金利差縮小につながるので、円高要因だが、日本に対する外国人投資家の信認が後退するので円売り要因でもある。為替相場がどちらに向くかは、他の要因もまじえて多角的に検討する必要がある。
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ところで私は与党の敗北の一つの原因は「少し辛抱すれば実質賃金がプラスになる可能性が高い」という中期的な展望を示せなかったことにあると考えている。
AI(Gemini)を使って、実質賃金動向を調べてみたところ、2023年の名目賃金は前年比+1.3%だったが、物価上昇により実質賃金は-2.2%だった。24年度は名目賃金は+2.9%で実質賃金は-0.2%だった。また今年1月~4月にかけても実質賃金はマイナスで推移している。
しかしこの先について主な経済機関は現在の状況が転換点にあると判断し、物価上昇率は徐々に鈍化する一方春季の賃上げ効果で名目賃金の上昇が続き、今年後半には実質賃金はプラスに転じる可能性が高いと見込んでいるようだ。
現在の政府与党が先のことを話しても、選挙民の支持を得ることは難しいだろうが、「インフレが一過的なものであるとすれば、インフレ対策もスポット的なものが良い」ということをもっと強調しても良かったのではないか?
ただし全国民に対するインフレ対策としては、働く人の実質賃金の向上だけではだめだ。年金受給者へのインフレ対策も不可欠だ。それは年金を完全物価スライド制にする。つまりマクロスライド制の廃止だ。
主要調査機関やIMFが予想するようにやがてはインフレ率を上回る賃金上昇が定着すると私は考えている。そうならなければ日本経済は活性化しない。
今はその過渡期だ。過渡期に本当に困っている人に素早い支援を行いながら、待てる人には待って貰いながら、本質的な体質改善を図るという政策を打ち出す点では、今の総ての政党に失望を禁じ得ない。今回の選挙はその中で少しでもましな党を選ぶということだろうか?