金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

ロシアの作戦転換~ドンバス集中、面子維持か実益狙いか?

2022年03月26日 | ニュース
 ウクライナに侵略してから1カ月。ロシアの作戦変更が明確になってきた。ロシアの作戦本部長セルゲイ・ルドスコイ将軍は「当初の作戦目標を達成したのでドンバス地方の解放に注力する」と述べている。ウクライナ領のドンバス地方はロシア系の住民が多く、独立を求めて抗争が続いてきた地域だ。この地域で争いの焦点になっているのがマリウポリだ。ロシアがここを押さえると親ロシア色が強いドンバス地方とロシアが違法に合併したクリミア半島が回廊のようにつながる。
西側有力紙は、ロシアはウクライナのゼレンスキー政権を打倒し、新ロシア政権樹立を目指してウクライナに侵略したが、この戦略目的を達成する見込みが遠のいたので、ドンバス地方の解放に戦略目的を変えたと報じている。
米国やNATOの軍事専門家の分析によると、キーウ(キエフ)を包囲していたロシア軍がウクライナ軍に押し戻され退却が続いているということだから、ロシアが達成可能性が高い戦略目標にゴールを下げたことは十分考えられる。つまりプーチンが国内向けに戦争に勝ったという面子を守るためにだ。
 ゴールを下げたので停戦交渉のハードルが下がると推測できるが、ウクライナがドンバス地方の事実上の独立を認めるかどうかは分からない。
 ロシアとウクライナの直接交渉だけではなく、ウクライナの後ろにいるNATOやアメリカが手打ちに向けてどのように動くかも分からない。
 結局分からないことだらけなのだが、はっきりしていることは、今回のロシアのウクライナ侵略が当初の戦略目的を果たせなかったので失敗だったということだ。
 ただしプーチンにも面子というものがある。プーチンの面子を立てながら落しどころを探るか、あるいはクーデターで彼が放逐されるまで追い込むかはアメリカやNATOの判断による。
「窮鼠猫を噛む」とか「囲師は周するなかれ」という言葉もある。徹底的に相手を追い込むと死に物狂いで向かってくるので、逃げ道をあけておいた方が良い、逃げ道があると敵はそこから落ち延びて自滅するという教えだ。
 私がNATOの軍師であればここは一旦プーチンの面子を立てる落しどころを探し、ロシアの自壊を待つ戦術を取りたいと思うがさて現実やいかに? 
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ポートフォリオの時価は昨年末を超えた。円安で。でもこれでいいのだろうか?

2022年03月26日 | 投資
 今年の1月に連銀の政策金利引き上げ観測で急落した米国株。このためポートフリオの時価残高は急減した。2月末から今月初めにかけてはロシアのウクライナ侵略でまた下げ基調になった米国株だが、ここに来て少し持ち直している。
 持ち直しているがまだ年初の水準には届いていない。
 一方ポートフォリオの時価残高はあっさり今年最高水準に達した。
 これは円安ドル高のお陰だ。年初に115円だった為替レートは122円まで円安が進んだ。これによりポートフォリオの時価残高が増えている。ちなみに1年前のドル円為替レートは110円近辺だったから、11%近く円安が進んだことになる。
 ドル資産が多いポートフォリオをお持ちの方は円安による評価益が膨らんでいると思うが、手放しで喜んでよいかというと甚だ疑問だ。
 今回の円安の表面上の理由は、インフレにより金利が上昇するドルといつまでもほとんど金利があがらない円の金利差である。だが私はもっと根源的な理由があるのではないか?と懸念している。
 根源的な理由とは、日本の構造的な弱さである。一番の弱さは歯止めがかからない高齢化による労働力の減少だ。
 次に色々な問題に抜本的な対策を取らず、小手先の対応で問題先送りをする政治や企業経営に対する不信が高まっているという問題だ。
 英米が緊急避難で行ったコロナ対策のバラマキを止めて、金融引締めや財政規律の回復を試みる中、日本には一向にその兆しが見えない。
 先進国で最悪の財政状況にある日本では本来逆立ちしてもこれ以上の補助金など出せる状態にないのだが、相変わらずチマチマした給付金を出す・出さないなどと議論している状況を見るとこの国は大丈夫か?と内外の投資家が疑問を抱いても何の不思議もない。
円安は輸入物価の上昇により、消費者を直撃する。円高は一部の輸出業者の収益を悪化させるにとどまるのに対し円安のマイナス影響は国民生活全体に及ぶ。
 そう考えると一時的にポートフォリオの時価が増えたことに喜ぶことはできない。もっともインフレヘッジの観点からドル資産を積んでいるのでその点ではヘッジ戦略は奏功しているということはできるのだが・・・・
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