「数字はウソをつかない」Number don't lieの中にWhat makes people happy?という項目がある。毎年春に国連の関連機関が発表しているWorld Happiness Reportを踏まえた世界の国の幸福度比較に基づくある推論が述べられている。
幸福度は一人当たりGDP、健康寿命、主観的幸福度、寛容度などで測定される。幸福度ランキングはフィンランドを第一位としてデンマーク、ノルウェーという北欧諸国が続き、日本は58位(2016~2018年)でお隣韓国54位の少し下である。幸福度スコアの内訳をみると日本は寛容度と主観的幸福度が低い。寛容度については「過去1カ月にチャリティに寄付をしましたか?」といったチャリティ実績で測定されるので、寄付の習慣が定着していない日本には低い点数が付く。
さて「数字はウソをつかない」は次のような推論を行っている。
- 幸福度ランキング23位のメキシコは暴行や殺人の割合が高い国だけれど24位のフランスより幸福度ランキングが高い。
- グアテマラ(27位)はサウジアラビア(28位)より高い。
- パナマ(31位)はイタリア(36位)より高い。
- アルゼンチン(47位)は日本(58位)より高い。
上記の比較では最初の国よりも後の国の方がより豊かで暴力沙汰が少なく、安定して過ごしやすい。だがどうして最初の国の方が幸福度が高いのだろうか?
最初の国に共通することはかってスペインの植民地でありそれ故にカトリック信者が多いのである。
そして本は幸福度ランキング10位以内の北欧諸国などに入っていないのであればカトリックに宗旨替えをしてスペイン語を勉強するのが良いとまとめている。
カトリックに宗旨替え以下は冗談としてもカトリックの信者が幸福度が高いというのは興味深い推論だ。
我々は自己責任で色々なことを決め、努力し、その結果を受け入れるものだと学んできた。だがこれは結構しんどい話だ。神様か仏様かはしらないけれど絶対的な誰かが運命を決めていると考えた方が楽かもしれない。
非常に大雑把な物言いをすれば、北欧諸国は自由な選択と自己責任でうまく回り幸福度が高い。仄聞するところでは、北欧はセイフティネットがしっかりしているし、退職後は振出に戻って皆が一様にシニアライフを楽しむ仕組みになっているようだ。その次の層として北米・欧州諸国があり、その次辺りに中南米のカトリック諸国があり、日本・韓国・中国など東アジアの経済大国はそれ以下の層を構成するという構図である。
これは私の直感的な推論だが、北欧、北米・欧州、中南米にはそれなりのセイフティネットがあるが、急速に経済成長を続けた東アジアではセイフティネットが弱いということがあるかもしれない。
もっとも幸福度ランキングは「ある切り口」から幸福度を推測したものに過ぎないので目くじらを立てて議論するほどの話ではないだろうが。