金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
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米国株高値更新、ところで地銀系証券会社は失敗に終わるだろう

2017年06月02日 | 投資

昨日(6月1日)米国株は好調な経済指標や原油価格の安定に支えられ高値を更新した。

民間給与計算センターADPによると、4月の雇用増は253千人でアナリスト予想の中央値185千人を大きく上回った。

また米供給管理協会(ISM)が発表した5月の製造業景況感指数は54.9と前月の54.8をやや上回り、市場予想54.5も超えた。

ところで今日の話題は読売新聞(朝刊)に載っていた地銀が収益基盤拡大を目指して証券子会社を設立しているという話。

貸出難から顧客に株式等有価証券を販売して、手数料を稼ごうという魂胆だが、私は大半の試みは失敗に終わると考えている。

理由は幾つかある。まず人材の問題だ。銀行業と証券業では求められるスキルが違う。次に顧客層の問題。地銀の営業テリトリー内で既に証券投資を行っている人は証券会社の有人店舗やネット取引を既に行っている。証券会社の既存客を取り込むのは難しいから、銀行の預金客をターゲットにすることになるのだろうが、預金者は保守的だから中々証券投資になびかないだろう。

だが一番の問題は品揃えではないだろうか?簡単にいうと米国株など外国株を簡単にかつ有利な条件で売買できるか?という問題だ。

現在安定して高いパフォーマンスを上げているのは米国株だ。米国株のパフォーマンスが高いのは、アマゾン・アルファベット(グーグル)などのハイテク銘柄(アマゾンは厳密には小売業に分類されるが)の成長が著しいからだ。

一方大型成長銘柄のない日本株は伸び悩んでいる。私の推測では地銀系証券会社に米国株の売買を執行する力はないだろう。少なくともネット証券より有利な条件で執行することはできない。野村證券等の既存証券会社の売買手数料は高いが、あるロットになると、東京時間で売買を執行することが可能だ。これは1つのメリットである。

以下は勝手な想像だが、地銀系証券会社に出向くと自分たちの売りやすい日本株などを薦められ、外国株を買いたいというと投資信託を薦められるのではないだろうか?S&P500ETFでも薦めてくれた良いのだが、それでは日本株の委託手数料しか入らないので、割高な投資信託を薦められることになるだろう。

結局のところ、地銀系証券会社は顧客にメリットを提供できない上、収益も上げられず尻すぼみに終わると私は考えている。

 

 

 

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