WSJによると台湾の鴻海精密工業が東芝にメモリー事業に最大3兆円を支払う用意があると伝えた。
メモリー事業は2兆円が適正価格と言われているので、3兆円は5割アップの魅力的なオファーに見える。東芝のメモリー事業は人工知能などで使われるNAND型フラッシュメモリー市場でのシェアが2割と言われている。鴻海はこの分野で大規模な展開をまだ行っていないので、東芝のメモリー事業を手に入れると世界トップのサムソン電子を追撃できる体制が整うから、高値をつけてきたとWSJは解説している。
鴻海はシャープを買収した時、数ヶ月の交渉を経て、取引額を4割下げることに成功したから、柳の下のどじょうを狙っているのかもしれない。
いずれにせよ、3兆円という価格はアンカーリング効果を呼び、買収競争相手に圧力をかけることは間違いない。
米国の原発子会社ウエスティングハウスが買収したストーン&ウエブスター社が抱えていた7千億円規模の巨額の損失に引き倒されそうになっている東芝。鴻海が魅力的に見える価格を提示してきたと噂されるが、買収は下駄を履くまで分からないと見ておくべきだろう。