「常識」と呼ばれるものにはしばしば誤りがある。昔は投資信託について日本株投信より外国株投信の方がリスクが高いなどと銀行の窓口で説明をしているのを聞いたことがあるがこれなど投資の世界の「常識」と言われているものの誤りの典型的な例だろう。
リスクを値動きの激しさととらえると、昨年57%上昇した日本株は今年は年初から13%下落している。一方米国株は昨年30%上昇し、今年はふらふらしながらも先週の段階で年初来1%程度の上昇は保った。
値動きの荒っぽさからいうと日本株の方が米国株よりリスクが高いことは間違いない。なぜ日本株の値動きが荒っぽいかというと、利に敏い欧米の機関投資家が大量に資金を動かしているからである。
安倍政権が発足した一昨年の終わり頃から、日本株を買っていた外国勢は今は完全に売りに回っている。
大方のヘッジファンドは日本株への資金配分比率を下げている。中国経済の低迷、ウクライナの政情不安、消費税引き上げによる景気後退懸念等悪材料が多い一方、支援材料となる企業業績の発表は4月下旬だからしばらくは売りが優勢なのだろう。
統計では先々週の外国勢は1.1兆円の売り越しで空売り比率は過去5年間で最高のレベルに達したようだ。
一般に外国人投資家はアベノミクスの第三の矢と呼ばれる構造改革の遅さにイライラし、果たしてやりぬけるのかどうか懸念を高めていると説明されている。恐らくそのとおりである。さらに私の推量を重ねれば多くの投資家はこの国の空疎な議論の長さと具体的で有効な施策を取らない手ぬるさがいつまでたっても変わらないことに匙を投げ始めたのではないか?と懸念している。