新聞によると日中政府は東シナ海ガス油田の共同開発案で最終合意に達し、今日中(18日)にも正式発表するということだ。日中間の排他的経済水域問題は未決着だが、境界線問題を棚上げして共同開発に入るというものだ。私はガス油田開発による経済的効果よりも、日中関係改善のマイルストーンとして、政治的効果が高いと考えている。
海底油田問題は米国でも政治の争点になりそうだ。というのは昨日共和党のマケイン大統領候補が昨日ヒューストンで「海底油田開発を支持する」と演説したことに端を発する。米国の海底油田開発については1990年の先代ブッシュ大統領が海底油田の開発禁止命令を出しているが、原油価格高騰に伴い共和党議員の中から禁止命令の廃止を求める声が高まっている。ブッシュ大統領は今日議会で禁止命令の廃止を求める演説を行う予定だ。このブッシュ大統領の動きで海底油田開発問題は一機に政治の中心課題になる可能性がある。もっともマケイン候補にとってブッシュ大統領と同じ考えを持っていると見られることが、選挙戦では不利に働く可能性も高いのだが。
連邦エネルギー情報管理局によると、米国の油田開発禁止区域の中に750億バレルの原油が埋蔵しており、その内160億バレルは海底油田だという。この「お宝」が政治のテーブルにあがるという訳だ。
マケイン上院議員の演説は今までマケインを仲間だと思っていた環境保護論者をカンカンに怒らせた。海底油田開発はオイル漏れと掘削時に排出される汚水が環境上大きな問題だからだ。
日本の新聞には今回の大統領選挙の行方を人種問題の切り口から判断しようとする見方があるが、今後選挙戦で問題になるのは経済や原油価格の問題だ。