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金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

海底油田は政治の季節

2008年06月18日 | 社会・経済

新聞によると日中政府は東シナ海ガス油田の共同開発案で最終合意に達し、今日中(18日)にも正式発表するということだ。日中間の排他的経済水域問題は未決着だが、境界線問題を棚上げして共同開発に入るというものだ。私はガス油田開発による経済的効果よりも、日中関係改善のマイルストーンとして、政治的効果が高いと考えている。

海底油田問題は米国でも政治の争点になりそうだ。というのは昨日共和党のマケイン大統領候補が昨日ヒューストンで「海底油田開発を支持する」と演説したことに端を発する。米国の海底油田開発については1990年の先代ブッシュ大統領が海底油田の開発禁止命令を出しているが、原油価格高騰に伴い共和党議員の中から禁止命令の廃止を求める声が高まっている。ブッシュ大統領は今日議会で禁止命令の廃止を求める演説を行う予定だ。このブッシュ大統領の動きで海底油田開発問題は一機に政治の中心課題になる可能性がある。もっともマケイン候補にとってブッシュ大統領と同じ考えを持っていると見られることが、選挙戦では不利に働く可能性も高いのだが。

連邦エネルギー情報管理局によると、米国の油田開発禁止区域の中に750億バレルの原油が埋蔵しており、その内160億バレルは海底油田だという。この「お宝」が政治のテーブルにあがるという訳だ。

マケイン上院議員の演説は今までマケインを仲間だと思っていた環境保護論者をカンカンに怒らせた。海底油田開発はオイル漏れと掘削時に排出される汚水が環境上大きな問題だからだ。

日本の新聞には今回の大統領選挙の行方を人種問題の切り口から判断しようとする見方があるが、今後選挙戦で問題になるのは経済や原油価格の問題だ。

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中国からベトナムへシフト

2008年06月18日 | 社会・経済

ニューヨークタイムズ(NT)によると、中国に生産拠点を置くアメリカのメーカーが工場をベトナム等中国以外のアジア諸国に建設する動きを強めている。このベトナムシフトは日本メーカーではかなり前から起きていることで目新しい話ではないが、輸入物価の上昇に悩むアメリカの姿が見えて興味深い。

日本企業の例では、キャノンは中国での工場拡大を止めて、ベトナムのハノイ郊外のプリンター工場の労働者を倍増させ8千人規模に拡大している。

アメリカの下着・衣料メーカーのハインズブランド社は、ハノイ郊外に2つの工場を作っている。同社は高騰する中国人の人件費対策として南京工場の自動化を進めている。これに加えてタイにも2つの工場を建設中だ。ハインズの製品は日本でも売られているので、今度生産地を確認してみようと思う。

中国が世界の工場としての魅力を失いつつある理由は幾つかある。一番は人件費の上昇だ。沿岸地方では非熟練工で1週間40時間働いて120ドル稼ぐ。ベトナムでは48時間(つまり土曜日も働いて)1週間の給料は50ドルだ。

また人民元の米ドルに対する上昇も加味したドルベースで見ると、中国の人件費はこの1年間で25%以上上昇している。

中国は外国企業に対する税制優遇を段階的に廃止している。一方ベトナムは外国企業に対する税制優遇を続けている。具体的には最初の4年間は法人税はゼロ、そして次の4年間は通常税率(10%)の半分にするというものだ。

中国に対する外国からの直接投資は過去3年間で3割方増加している。しかし同期間でフィリピンに対する外国からの直接投資は2倍に、インドでは4倍に、ベトナムでは8倍に拡大している。

中国以外に工場を作る動きはChaina plus oneというそうだ。

中国以外に工場を持つということは、労働コスト面だけでなく、エネルギー不足、通貨高、政策変更リスク、更には社会的混乱など様々なリスクを緩和することにもなる。

我々の個人投資の世界でも、Chaina plus oneやJapan plus oneあるいはDollar plus oneなどPlus one戦略を考える時代だろう。

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Take to the streets(イディオム・シリーズ)

2008年06月18日 | 英語

Take to the streetsという言葉は、韓国で起きている反政府の大きな抗議デモについてファイナンシャルタイムズで使われていた。

Korean Nationalists took to the streets in their tens of thousands.「韓国の愛国者達は数万人規模で抗議デモを行った。」Takeは色々な前置詞と結合して、色々な意味で使われる。Take outというと「コーヒーや食事を持って帰ること」だし、Take offというと「離陸する」という意味の他「景気が良くなる」という意味もある。Take toには「(暴力などに)訴える」と意味があるので、Take to the streetsで「抗議デモをする」という意味になるのだろうと私は考えている。

李大統領は数ヶ月前に選挙で勝ったばかりだが、米国からの牛肉輸入再開問題で20年振りの大規模な反政府デモに見舞われている。これは牛肉自体の問題より、李大統領が米国の操り人形Stoogeに見えたことに対する反発だ。韓国経済の活性化には、市場開放や外資導入が必要だが、それに対する潜在的な反発が牛肉デモとなって火を吹いたいうべきだろう。

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