マイクロソフトの業績と株価が好調なことは、株式投資を行っている人や投資に関心のある人なら先刻ご承知のはずだ。
トランプ関税問題、物価高、国内外における政治的不安定さなど投資環境は、不透明だ。
その不透明な環境の中でマイクロソフトの業績は一つの方向感を示しているといえるだろう。
それはクラウドサービスを提供するIT大手3社の株価に現れている。過去6カ月のパフォーマンスを見ると、アマゾン、グーグルの親会社アルファベットの株価は低迷しているが、マイクロソフトの株価は好調だ。
WSJにMicrosoft is an AI darling, but its core businesses are booming too.という記事が出ていた。
「マイクロソフトはAIの寵児だが、中核事業も急成長している」という内容だ。
その理由は、多くの会社が自分でAI機器の購入から、マイクロソフトのクラウドコンピューティング経由のレンタルに切り替えていることだ。
またAIを活用するためのデータ・ストレージなどをより標準化したデバイスのレンタルに切り替えていることも、マイクロソフトの売上に寄与している。
マイクロソフトのクラウド・ビジネスはアジュールと呼ばれているが、今年3月の四半期決算では、アジュールの33%の増収の半分以上は非AI部門からもたらされたものだった。
AIユーザーとしての個人的な感想だが、私の場合、今人工知能を一番活用しているのは、外国人への日本語レッスンの教材作りや指導方法の作成だ。
日本語を学ぶ外国人には様々な理由な目的がある。ある人は企業の採用条件に日本語能力試験でN2レベルが求められるから、試験合格を目指したいといい、ある人は永住権取得のために面接官との面接を上手くこなしたいという。
これらの個々のニーズに基づいて、学習計画を作成し、具体的な教材を準備する上でAIの活用は非常に役に立つ。
しかしこれらの作業はAI、たとえばChatGPTやGeminiとだけ行っている訳ではない。教材は最終的に紙やPDFで生徒たちと共有することになる。だから出力方法を決めて、AIに指示(プロンプト)を出すわけだ。
私の場合、エクセルで加工することができるようにCSV方式での出力を依頼することが多い。
つまりAIを活用するとエクセルの利用も増えることになる。
これはごく一例だが、多くの企業などでもAIを導入することで、マイクロソフトの製品(ワード、エクセル、パワーポイントなど)の利用が増えていると思う。そしてそれらな企業の膨大な事務作業の効率化に資していると思う。
つまり企業がデジタルトランスフォーメーションを推進しようと考えるとAIの活用が肝になり、AIを活用しようとすると非AIのデバイスの利用が増え、それらを安全に使おうと思うとクラウドコンピューティングの利用が増えるという構図だ。
これが現在のマイクロソフトの業績を支えているのだ。