追憶の彼方。

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藤井七段が挑む最年少タイトル戦 

2020年06月18日 | 文化・文明
藤井七段が挑む最年少タイトル戦 

コロナ騒ぎで楽しみにしていた「スマイリング・シンデレラ・渋野日向子」の女子ゴルフや、MLBの「SHOWTIME、こと大谷翔平」の活躍も見られず、なんとも味気ない4・5月であったが、6月に入って将棋界が大いに盛り上がり、対局のテレビ放映に釘付けになる日が続いている。緊急事態宣言解除により、中断していたタイトル戦が一斉に始まったのである。
現在将棋界のタイトル「八つ」を4人の棋士が保持している。渡辺9段が(棋王・王将・棋聖)の3冠、豊島9段が(竜王・名人)の2冠、永瀬8段が(叡王・王座)の2冠、木村9段が(王位)で、タイトルが少数の棋士に集中している為、一部の棋士の挑戦手合いが超過密となっている。渡辺9段は6月8日、藤井聡太七段との「棋聖」タイトル初戦を行い(藤井7段先勝)、6月10・11日には豊島9段との「名人」タイトルへの挑戦手合い初戦(渡辺3冠先勝)、18・19日には第2局というような過酷な状況になっている。
同様に好成績を収めている永瀬8段や藤井7段もタイトル挑戦者決定戦やタイトル挑戦手合いで多忙を極めている。
6月21日(日)永瀬叡王に対する叡王挑戦手合い7番勝負の初戦が行われる。挑戦者は豊島(竜王・名人)。
6月23日(火)には「王位戦リーグ白組」、5戦全勝で優勝した藤井7段と、同じく「紅組」全勝優勝の永瀬8段との挑戦者決定戦が開催される。
更に藤井7段は6月20日(土)、竜王戦3組ランキング戦決勝で注目の「師匠杉本8段との師弟対決」が組まれている。
更に25日(木)には順位戦B級2組の対局が佐々木勇気7段との間で行われる。両者にとって昇級後最初の対局である。佐々木7段は平成29年7月2日に行われた竜王戦決勝トーナメントで公式戦29連勝し(プロ初戦は加藤一二三9段)、無敗中であった藤井聡太(当時4段)との対局に勝利し、藤井に公式戦初黒星をつけた棋士として有名で2回目の対戦と言うことで注目を集めている。
28日(日)には渡辺3冠との棋聖戦第2局が行われるが、日曜日,AbemaTVで放映されることになっており、異様な興奮に包まれることは間違いない。6月はパソコンの前から離れられない日が多かったが、今から楽しみな事である。

この様な状況の中、将棋界の若きプリンス藤井聡太七段がコロナ禍の暗い世相を打破するような新たな金字塔を打ち立てたことは真に喜ばしい事であった。2か月弱ほど対局から遠ざかっていたが、上記の通り、その鬱憤を晴らすかのように6月4日に行われた第91期棋聖戦挑戦者決定戦で二冠(叡王・王座)のタイトル保持者・永瀬拓矢8段(27)を破り、渡辺明棋聖(36)への挑戦権を獲得したのである。挑戦手合い初日の8日が藤井7段17歳10ヵ月20日となるので、それまでの年少記録だった(お化け屋敷、忍者屋敷)の異名を持つ天才棋士・屋敷伸之九段の17歳10ヵ月24日をわずか4日とはいえ、これを上回る「タイトル戦登場最年少記録」となったのである。このタイトル戦5番勝負で3勝すればタイトルを獲得し、屋敷が持つ史上最年少タイトル獲得記録(18歳6カ月)も31年振りに更新することになる。
藤井聡太七段(17)と永瀬二冠(叡王・王座)との間で行われた「6月4日の棋聖戦・決勝トーナメントの決勝戦」は「史上に残る名局」と多くの棋士に言わしめる程の高濃度の戦いとなった。多くの将棋フアン同様AbemaTVに釘付けとなってしまった。
この二人は浅からぬ因縁がる。非公式ながら現在の棋力を示すと言われるレーティングで藤井七段が1位、永瀬二冠が3位という状況(2位は渡辺3冠)。更に「AbemaTV将棋チャンネル」で放映された「炎の7番勝負」で唯一人、藤井に黒星をつけた棋士である。
藤井聡太四段が7名の棋士に挑むというAbemaTVのオリジナル企画「藤井聡太四段 炎の七番勝負」は、2016年10月14歳2か月、史上最年少で将棋のプロ棋士になった中学生の藤井聡太四段が、プロになって以来、経験が浅いにも拘らず公式戦無敗の13連勝中という、怪物じみた戦績を収めて居り、これに目を付けたAbemaTV が2017年3~4月、若手実力者から、トッププロまで7人の棋士と対戦させるという企画であった。
多くのフアンや専門家も対戦相手が「増田康宏(2016年新人王)、永瀬拓矢(2016年棋聖戦挑戦者)、斎藤慎太郎(2016年度勝率1位)、中村太地(2012年棋聖戦・2013年王座戦挑戦者)、深浦康市(A級在位中)、佐藤康光(A級在位中・将棋連盟会長)、羽生善治(タイトル三冠保持中・A級在位中)の7人」、若手強豪からトップ棋士まで揃った対戦相手があまりに強すぎ、藤井が2勝できれば上出来、藤井の全敗でも仕方ないと予想した。しかし、藤井は永瀬に1敗したのみで、6勝1敗の結果を残して世間を驚愕させた。この企画は大成功でAbemaTVのみならず将棋界が俄かに活気づく契機となった。タイトルを総なめし、タイトル獲得100期迄1期を残すのみ、叡王以外永世の名誉称号を有する不世出の天才・羽生善治の後継者出現との声も出て将棋ブームに火が付いた。
多くの棋士や女流棋士がテレビ対局での解説や講演会、イベント出演等で活躍の場を得て世間での知名度も大幅にアップした。とりわけ女流棋士の巧みなトークと「知と美」をせールスポイントにした活躍が将棋ブームを後押し、「将棋と日本文化」と言った形で大学の講座でも取り上げられ始めている。
藤井7段の将棋界への貢献度は計り知れないものがある

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