現在開会中の9月定例議会で、「子どもの貧困」を取り上げた。その理由だが、これまでのいろんな研究で、日本政府、とりわけこの10~20年の政治の悪さが原因であることが判明してきたからだ。しかも、これまでは1つ2つの指標で、なんとなく感覚的な印象だったが、これも統計的に証明されてきたからだ。
いくつかの角度で述べてみたい。日本の政策の間違いを見るためには、同じような経済環境にある諸外国と比較することが分かりやすい。また、最近「少子高齢化」で「子育て支援」がもてはやされているが、「子育て支援」=「子どもの貧困対策」ではない。
まず、家族政策の総額だが、日本の家族関連の社会支出は、GDPの0.75%であり、スウェーデン3.54%、フランス3.02%、イギリス2.93%などと比べ非常に低い。OECDの国々でアメリカが唯一日本より比率が低いが、税制からの給付分を含めると日本を上回ると推定されている。
教育支出はどうだろうか。日本の教育への公的支出は、GDPの3.4%で、他の先進国と比べて低い。北欧諸国は5~7%である。アメリカでも4.5%である。部門別では日本は初等・中等教育でも最低の2.6%であり、高等教育では0.5%と最低レベルだ。これは、事実上義務教育修了後、すなわち高校以降の教育は、ほぼ100%自己負担ということである。しかも、現在では給付型の奨学金はなく、学生時代から教育ローンを組んでいるようなものである。
子どもに対する給付はどうだろう?公明党さんがさかんに宣伝している児童手当の拡充だが、これとてかなり昔の水準での給付であり、残念ながら「手当があるからもう1人産もう」とはなっておらず、出生率もさほど上昇していない。2000年以降の児童手当の拡充も、「少子化のために何かをしている」政府によるジェスチャーに過ぎない(阿部彩85ページ)。
これらの制度を総合して比較する方法がある。それは、政府による本来の仕事=所得の再配分がどの程度機能しているかを見ればいい。これは、自由競争のまま放置していれば、経済的に強いものがたくさんのお金を持ち、そうでない者は貧乏をするので、社会的公平を確保するために金持ちから税などで預かり、低所得層に社会保障政策などで還元する機能のことである。具体的に言えば、市場所得とそれから税金と社会保険料を引き、児童手当や年金などの社会保障給付を足した「可処分所得」でみることになる。「再配分前所得/再配分後所得」とすると分かりやすい。もしも、再配分前の貧困率より再配分後の貧困率が下がっていれば、政府による「所得の再配分機能」が働いていることとなる。いわゆる「貧困削減」の効果があったということである。
OECD統計によると、18カ国中日本は唯一、再配分後の貧困率が再配分前の貧困率より高いこととなっている。つまり、社会保障制度や税制によって日本の子どもの貧困率が悪化していることになる。他の国を見ると、イタリア・ポルトガルはさほどの貧困率削減にはなっていないものの、その他は再配分後の貧困率が、半分以下になっている。出生率が劇的に上昇したフランスでは、再配分前は25%近いが再配分後は6%となっている。北欧諸国では再配分前の貧困率は日本とさほど変わらないが、再配分後はかなり低くなっている。悪名高いアメリカでも約5%貧困率を低下させている。
このように、日本では政治の役割がほとんどなく、というかいらんことをして返って子どもの貧困を悪化させている。言うまでもなく今までの自民党政治、それに協力してきた公明党、旧社会党などの罪である。
せめて、住民の暮らしに直接かかわっている市町村の現場で、このようなことを認識し、「子ども対策」を総合的に講じられるような姿勢を求めたくて、この定例会・とりわけ決算審議で取り上げたものだ。
いくつかの角度で述べてみたい。日本の政策の間違いを見るためには、同じような経済環境にある諸外国と比較することが分かりやすい。また、最近「少子高齢化」で「子育て支援」がもてはやされているが、「子育て支援」=「子どもの貧困対策」ではない。
まず、家族政策の総額だが、日本の家族関連の社会支出は、GDPの0.75%であり、スウェーデン3.54%、フランス3.02%、イギリス2.93%などと比べ非常に低い。OECDの国々でアメリカが唯一日本より比率が低いが、税制からの給付分を含めると日本を上回ると推定されている。
教育支出はどうだろうか。日本の教育への公的支出は、GDPの3.4%で、他の先進国と比べて低い。北欧諸国は5~7%である。アメリカでも4.5%である。部門別では日本は初等・中等教育でも最低の2.6%であり、高等教育では0.5%と最低レベルだ。これは、事実上義務教育修了後、すなわち高校以降の教育は、ほぼ100%自己負担ということである。しかも、現在では給付型の奨学金はなく、学生時代から教育ローンを組んでいるようなものである。
子どもに対する給付はどうだろう?公明党さんがさかんに宣伝している児童手当の拡充だが、これとてかなり昔の水準での給付であり、残念ながら「手当があるからもう1人産もう」とはなっておらず、出生率もさほど上昇していない。2000年以降の児童手当の拡充も、「少子化のために何かをしている」政府によるジェスチャーに過ぎない(阿部彩85ページ)。
これらの制度を総合して比較する方法がある。それは、政府による本来の仕事=所得の再配分がどの程度機能しているかを見ればいい。これは、自由競争のまま放置していれば、経済的に強いものがたくさんのお金を持ち、そうでない者は貧乏をするので、社会的公平を確保するために金持ちから税などで預かり、低所得層に社会保障政策などで還元する機能のことである。具体的に言えば、市場所得とそれから税金と社会保険料を引き、児童手当や年金などの社会保障給付を足した「可処分所得」でみることになる。「再配分前所得/再配分後所得」とすると分かりやすい。もしも、再配分前の貧困率より再配分後の貧困率が下がっていれば、政府による「所得の再配分機能」が働いていることとなる。いわゆる「貧困削減」の効果があったということである。
OECD統計によると、18カ国中日本は唯一、再配分後の貧困率が再配分前の貧困率より高いこととなっている。つまり、社会保障制度や税制によって日本の子どもの貧困率が悪化していることになる。他の国を見ると、イタリア・ポルトガルはさほどの貧困率削減にはなっていないものの、その他は再配分後の貧困率が、半分以下になっている。出生率が劇的に上昇したフランスでは、再配分前は25%近いが再配分後は6%となっている。北欧諸国では再配分前の貧困率は日本とさほど変わらないが、再配分後はかなり低くなっている。悪名高いアメリカでも約5%貧困率を低下させている。
このように、日本では政治の役割がほとんどなく、というかいらんことをして返って子どもの貧困を悪化させている。言うまでもなく今までの自民党政治、それに協力してきた公明党、旧社会党などの罪である。
せめて、住民の暮らしに直接かかわっている市町村の現場で、このようなことを認識し、「子ども対策」を総合的に講じられるような姿勢を求めたくて、この定例会・とりわけ決算審議で取り上げたものだ。