これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

映画『ジーン・ワルツ』と通院の心得

2011年02月20日 20時22分05秒 | エッセイ
 今日は、菅野美穂主演の映画『ジーン・ワルツ』を観てきた。
 映画を観に行くのは、年末の『ハリー・ポッター』以来だ。このところ、興味のある作品もないし、あれこれ忙しかったので、しばらくご無沙汰していた。
 今回は、菅野美穂のファンである娘が、「一人で行くのはイヤだから、つきあって」と頼んできたので、たまにはいいかと出かける気になった。家でDVDを観る手もあるが、電話がかかってきたり、荷物が届いたりと、邪魔されることが多い。やはり、大きな劇場の快適なシートで、飲み物片手にのんびり鑑賞するのが好きだ。

『ジーン・ワルツ』の原作は読んだことがある。現役医師でもある作家・海堂尊の力作で、なかなか読みごたえのある本だ。
 産婦人科医が減っているのだと、作者は警鐘を鳴らす。本来、リスクの高い妊娠・出産が、「無事にできて当たり前」と見なされる風潮から、1万人に1人という難しいお産で亡くなった産婦の執刀医が逮捕される。また、リスクを引き受けることを恐れた医師が、急患の妊婦の受け入れを拒否し、8病院にたらい回しにされた挙げ句、母子ともに死亡した事件もある。
 産婦人科だけではないが、医師が少なくなると、一番困るのは私たち一般市民だ。どうにかならないものかと、歯がゆく感じる。
 映画のほうは、このような問題提起を控え目にして、代理母出産の是非に焦点を当てている。法に従うことが正しいのか、母になりたいという女性の願いを叶えることが正しいのか。約2時間という短さでは、少々物足りない気もしたが、菅野美穂が美しく知的に描かれており、娘は満足したようだった。

 冒頭に、「オヤッ」と身を乗り出す場面があった。
 病院の総合受付を見下ろす形で撮影したシーンなのだが、不思議と見覚えがある。ベンチの形も、並んでいる間隔も、カウンターやFAXなどの細かい配置まで、私が通っている病院と同じなのだ。加えて、熱帯魚が泳いでいる水槽に、エレベーター、案内板、売店の場所まで一致している。さらには、患者を呼び出すチャイム音も同じではないか。
 果たして、こんな偶然があるのだろうか。
 ひょっとして、病院の内部仕様にはパターンがあるのかもしれない。同じ施工業者の設計でできた病院なのかな、と私は首をかしげた。
 やがて映画が終わり、エンドロールの文字が流れ始めた。キャスト、スタッフなどに続いて、医療協力、撮影協力などの団体名が登場する。
 もしやと思い、目をこらしていたら、私がお世話になっている病院名がバッチリ表れた。やはり、通い慣れた場所で撮影された映像だったのだ。まったく驚きである。

「えー、いいな! お母さん、菅野美穂見た?」
「見てないよ。日曜日とかに撮影したんじゃないの?」
「そっか。じゃあ、映ってた可能性もないね」
「あるわけないでしょ」
 明日は、その病院に行く日である。
 娘に言ったこととは裏腹に、何だか、オシャレをしていかねばならないような気がしてきた……。




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14 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
医者不足 (陽水)
2011-02-20 21:06:33
医者も人間、失敗する事だってある…でも失敗しちゃいけない…
医者になるには技術も重要だけど精神的強さを身につけないとダメなんじゃないかな~頭の良い子に育てられて来ても精神が軟弱だったり…
例えば一生懸命執刀しても何かのトラブルで患者さんを亡くして家族から責められても自信を持って対処出来る強さが望まれると思う…こんな事書いたら患者の家族から叱られそうだけどね…
エキストラ… (片割れ月)
2011-02-20 21:43:34
すごい偶然でしたね。
壇上にあがって、ここが私の通ってる病院です~とはならなかったのですね。ヾ(・・ )ォィォィ
それにしてもお嬢さんには、テーマの軽重は計れなかったと思います。
熱帯魚の数を数えるまでもなく、砂希さんには、ちと重かったのかな。
いつも… (矢野納言)
2011-02-21 05:04:27
いつも弟子のYanoがお世話になっており有り難うございます。
今回は、体調を崩して伏しておる本人になり代わりましてコメントをさせていただく所存です。
その映画を観るに至った事は、恐らくそれなる暗示だと拝察いたします。聞けば砂希先生は、それに繋かる事でご通院との事。もし仮に、暗示のような非科学的なものでないとするならば、賢いお嬢さんの懸命なる気遣いの賜物であろうかと思います。
末筆ながら、貴女様たってのご祈念が叶われます事を衷心より案じております。
         矢野納言 拝
強さ (砂希)
2011-02-21 07:04:21
>陽水さん

うーん、強さを強弁と勘違いする医師もいるからね。
誰かに責任を押し付けるとか、言い逃れに終始するようなことはやめてほしい。
といっても、何でもかんでも訴訟につながる現代にも責任があるね。
医師も保身に必死なんでしょう。
医者不足になれば、市民が困ることは間違いない。
社会的にも温かい視線が必要なんじゃないかな。
ビックリしました (砂希)
2011-02-21 07:09:38
>片割れ月さん

いや~、本当に驚きましたよ。
私が通っている病院は、建物が新しいんです。
地域に根ざした医療を目的にしているので、外来患者もさほど多くないし、撮影にはちょうどよかったんでしょうね。
メジャーな大病院は敷居が高いですから。
そうそう、テーマの本当の狙いを理解するには、娘はまだまだ子どもです。
お目当てのタレントにキャーキャー言っているだけでおしまいですね。
ただ、お産の大変さだけはよくわかったと感想をもらしていました。
きっかけ (砂希)
2011-02-21 07:12:50
>矢野納言さん

お弟子さんのYanoさんには、いつもコメントをいただきまして、ありがとうございます(笑)
この作品は、娘が友達から紹介され、それを借りたわけです。
いわば偶然ですね。
それとも必然なんでしょうか。
でも、この本のおかげで、「今日はこういうことをしてきた」と娘に報告し、理解を得ることはできましたよ。
知識が必要ですからね。
ちなみに、夫はちんぷんかんぷんなようです。
温かいお言葉をありがとうございました。
備えあれば・・・ (さくれ)
2011-02-21 10:35:40
それは絶対オシャレをしていかなきゃ!
この映画の撮影は終わっていても なにか他の作品のロケがあるかもしれませんよ~(笑)
ついでに色紙とサインペンも鞄に忍ばせておきましょうか♪
おっと、デジカメも!
これで「ロケ遭遇通院セット」の出来上がり~。
もしものときの備えは完璧ですねv
聞いてみました (砂希)
2011-02-21 21:21:32
>さくれさん

今日、病院で看護師さんに聞いてみましたよ。
やはり、日曜日にロケが入ったそうです。
3回くらいに分けて撮影したとか。
待合室の人々もすべてエキストラとのことで。
たしかに、ちょっと雰囲気が違います(笑)
ヨレヨレじゃないところに違和感があります。
「私も見に行こうかしら♪」と張り切っていました。
ロケセットは、無駄な荷物に終わりそうですね(笑)
私はロケに遭遇しました! (白玉・・・)
2011-02-23 22:52:22
行きつけ、じゃないかかり付けの病院で、TBSドラマ「あんどーなつ」のロケをしたんです。
厚かましくも→http://mixi.jp/view_diary.pl?id=893792279&owner_id=14029448
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=914768517&owner_id=14029448&org_id=912994690

海堂さんは、しばらくご無沙汰してます。
医療ミス訴訟・・・医師の勤務待遇を考えると、いつ起こっても不思議じゃないですね。
まだ身内に起こってないから言えるのかもしれないけれど、もっとゆとりのある現場にしないと、事故はさらに増えるんでしょうね・・・
おおっ!! (砂希)
2011-02-24 18:21:47
>白玉・・・さん

わ~、すっごーーい!!
平日にやっちゃうんですかね?
テレビ放映される日が待ち遠しかったことでしょう。
動画も拝見しました。
なかなかの力作になりましたね。パチパチ♪
私の主治医も、かなり忙しいようです。
一度、診察の直前に急患が入り、代診の先生になってしまったことがありました。
「えっと、どうしましょう」なんて感じで、まったくの無駄足でしたよ。
医療ミスも怖いけど、医師が倒れてしまうのではないかと心配です。

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