最近、年上女性と年下男性のカップルや夫婦が増えているようだ。
まさか、高校生のときからの親友・久美子までもが、そうなるとは思ってもみなかった。
「20歳下のメル友ができちゃった~」
先週、40歳を過ぎても独身で、食品メーカーで営業の仕事をバリバリとこなしている久美子のマンションに遊びに行った。彼女は、美人ではないが親しみやすい容貌をしており、決してモテないわけではない。
「つい、相手の欠点が気になって、つき合う段階まで踏み込めないんだよね」
飼っている2匹のシーズー犬を抱きながら、久美子はしみじみとこれまでの恋愛を振り返っているようだった。
「でもね、ユウキ君は年下だから許せちゃうの。可愛くって、言うことを何でも聞いてあげたくなるんだからっ」
2人の出会いはソーシャルネットワークの最大手mixiだ。久美子のページを見たユウキが好意を持ち、仲良くしたいというメッセージを送ったことがきっかけだった。
「私は40歳とお断りしたんだけど、僕は年上の女性が好きだからとてもウレシイって返信が来てね、こっちも舞い上がっちゃった!」
私もmixiを利用しているが、そんなハナタレ小僧からの熱烈なメッセージなんぞ、一度ももらったためしがない。イジメっ子オーラでも出ているのだろうか。
「……でもね、ユウキ君は15歳年上の彼女と同棲してるの。だから、彼女が仕事で家にいないときだけしかメールできないんだよね」
久美子は気を紛らわすように犬の頭を撫ではじめた。
そういえば、昔、小雪と松本潤が共演した『きみはペット』というテレビドラマがあったっけ。見なかったけれども、ユウキと彼女はそれに近い関係なのではないだろうか。ユウキはご主人様である彼女に養ってもらい、ヒモのような生活をしているように見えた。
ただし、このペットは飼い主が留守のとき、発情して悪さをするらしい。
二人は一体、どんなやり取りをしているのだろう?
「ユウキ君から来たメール、見せてよ~」
私が頼むと久美子は渋ったが、自慢したい思いもあったようで、結局は見せてくれた。
―今日は休み? メールできるかなぁ?
―どんな服が好きなの?
1通のメールにはほんの1~2行の文章しかない。若者らしく絵文字の多用が目立つ。語彙は乏しく、「そぉなんだぁ~」「なるほどぉ~」という相槌が何度も登場する。
やがて、メールの内容は、徐々に奇妙な方向へと転じていった。
―ストッキングは履きますかぁ?
―そぉなんだぁ~、ぼく、ストッキングフェチなんだよね。
―久美ちゃんのストッキング欲しいなぁ~。
「ゲッ」と声に出しそうになった。この男、変態か?!
―うれしいなぁ。ぼくの住所はね……だよ!
―ありがとう。明日着くかなぁ? 明日も彼女が仕事だから都合いいんだよね。
―明日の何時ころ着くの?
「……ちょっと、久美子。ユウキにストッキング、送ったの?」
「うん……。だって断りきれなかったんだもん」
堅物だと思っていた久美子に、こんな面があるとは知らなかった。未使用のストッキング3足を定形外サイズの封筒に入れ、わざわざ速達にしてポストに投函したと言う。
呆れた……。人がいいというか、恥知らずというか……。
受信メールが翌日の日付に変わった。前日受信したメールを数えてみたら48通もあった。私の1カ月分に相当するメールを、この二人はわずか1日でやり取りしたことになる。
―まだ来ないよぉ。来たらメールするからね。
この日、久美子は出かけていたそうで、メールはわずか5通しかなかった。
ユウキは何をして時間をつぶしていたのだろう。本を読むとか、部屋を掃除する、料理を作るなど、建設的な行為をしていたとは到底思えない。
ただ待つだけのユウキだったが、ようやく念願のものが到着したらしい。だが……。
―いま着いたよ。料金が10円足りないって言われたよぉ。
思わず、私は吹き出した。
「何これ~!! タダでストッキングをゲットしたんだから、10円足りないくらいでイチイチ報告するなっつーの!」
「軽いと思って重さを量らずに、定形外の最低料金プラス速達料金で切手を貼ったのよね。多めに貼ったつもりでいたのに、実は足りてなかったわけ」
―大丈夫。明日払いに行ってくるよぉ。ありがとう、感謝します。
さて、久美子とユウキの珍道中は、まだまだ続く……。
お気に召したら、クリックしてくださいませ♪
※姉妹ブログ 「いとをかし」 へは、こちらからどうぞ^^ (10/19更新)
まさか、高校生のときからの親友・久美子までもが、そうなるとは思ってもみなかった。
「20歳下のメル友ができちゃった~」
先週、40歳を過ぎても独身で、食品メーカーで営業の仕事をバリバリとこなしている久美子のマンションに遊びに行った。彼女は、美人ではないが親しみやすい容貌をしており、決してモテないわけではない。
「つい、相手の欠点が気になって、つき合う段階まで踏み込めないんだよね」
飼っている2匹のシーズー犬を抱きながら、久美子はしみじみとこれまでの恋愛を振り返っているようだった。
「でもね、ユウキ君は年下だから許せちゃうの。可愛くって、言うことを何でも聞いてあげたくなるんだからっ」
2人の出会いはソーシャルネットワークの最大手mixiだ。久美子のページを見たユウキが好意を持ち、仲良くしたいというメッセージを送ったことがきっかけだった。
「私は40歳とお断りしたんだけど、僕は年上の女性が好きだからとてもウレシイって返信が来てね、こっちも舞い上がっちゃった!」
私もmixiを利用しているが、そんなハナタレ小僧からの熱烈なメッセージなんぞ、一度ももらったためしがない。イジメっ子オーラでも出ているのだろうか。
「……でもね、ユウキ君は15歳年上の彼女と同棲してるの。だから、彼女が仕事で家にいないときだけしかメールできないんだよね」
久美子は気を紛らわすように犬の頭を撫ではじめた。
そういえば、昔、小雪と松本潤が共演した『きみはペット』というテレビドラマがあったっけ。見なかったけれども、ユウキと彼女はそれに近い関係なのではないだろうか。ユウキはご主人様である彼女に養ってもらい、ヒモのような生活をしているように見えた。
ただし、このペットは飼い主が留守のとき、発情して悪さをするらしい。
二人は一体、どんなやり取りをしているのだろう?
「ユウキ君から来たメール、見せてよ~」
私が頼むと久美子は渋ったが、自慢したい思いもあったようで、結局は見せてくれた。
―今日は休み? メールできるかなぁ?
―どんな服が好きなの?
1通のメールにはほんの1~2行の文章しかない。若者らしく絵文字の多用が目立つ。語彙は乏しく、「そぉなんだぁ~」「なるほどぉ~」という相槌が何度も登場する。
やがて、メールの内容は、徐々に奇妙な方向へと転じていった。
―ストッキングは履きますかぁ?
―そぉなんだぁ~、ぼく、ストッキングフェチなんだよね。
―久美ちゃんのストッキング欲しいなぁ~。
「ゲッ」と声に出しそうになった。この男、変態か?!
―うれしいなぁ。ぼくの住所はね……だよ!
―ありがとう。明日着くかなぁ? 明日も彼女が仕事だから都合いいんだよね。
―明日の何時ころ着くの?
「……ちょっと、久美子。ユウキにストッキング、送ったの?」
「うん……。だって断りきれなかったんだもん」
堅物だと思っていた久美子に、こんな面があるとは知らなかった。未使用のストッキング3足を定形外サイズの封筒に入れ、わざわざ速達にしてポストに投函したと言う。
呆れた……。人がいいというか、恥知らずというか……。
受信メールが翌日の日付に変わった。前日受信したメールを数えてみたら48通もあった。私の1カ月分に相当するメールを、この二人はわずか1日でやり取りしたことになる。
―まだ来ないよぉ。来たらメールするからね。
この日、久美子は出かけていたそうで、メールはわずか5通しかなかった。
ユウキは何をして時間をつぶしていたのだろう。本を読むとか、部屋を掃除する、料理を作るなど、建設的な行為をしていたとは到底思えない。
ただ待つだけのユウキだったが、ようやく念願のものが到着したらしい。だが……。
―いま着いたよ。料金が10円足りないって言われたよぉ。
思わず、私は吹き出した。
「何これ~!! タダでストッキングをゲットしたんだから、10円足りないくらいでイチイチ報告するなっつーの!」
「軽いと思って重さを量らずに、定形外の最低料金プラス速達料金で切手を貼ったのよね。多めに貼ったつもりでいたのに、実は足りてなかったわけ」
―大丈夫。明日払いに行ってくるよぉ。ありがとう、感謝します。
さて、久美子とユウキの珍道中は、まだまだ続く……。
お気に召したら、クリックしてくださいませ♪
※姉妹ブログ 「いとをかし」 へは、こちらからどうぞ^^ (10/19更新)
ストッキング郵送のため、梱包している最中に、ふと我に返ったりしないあたりが素敵!
今回は(も?)品がなくて恐縮ですが、聞いた瞬間、猛烈に書きたいと感じた話でした
実話なんですよぅ~
捨てるつもりであげたそうですが、彼は自分で履くのでしょうか
想像したら笑っちゃいました
けど20歳も離れてたら、下手したら親と子のようですね…
女性には母性があるから、年下男性に優しくできるのでしょうか???
厳しく躾けることも大事ですよね~
ビシバシ