何をするにも、私は期限ギリギリに間に合えばいいと思っている。
たとえば、朝の出勤時刻。私が勤めている学校は8時半から勤務時間なのだが、いつも8時28分頃に到着する。決して朝に弱いわけではなく、お弁当を作ったり筋トレをしたり朝食の準備などで、あっという間に時間がたってしまうからだ。
中には7時に出勤する人もいる。特に、育児や家事の負担がない男性は来るのが早い。私は好奇心から早く出勤したがる心理を知りたくて、もうじき定年退職を迎える山田さんに聞いてみた。
「先生はいつも早く来てますね。もしかして、1番ですか?」
「いえいえ、どんなに頑張っても私は3番ですよ。○○先生と××先生は私よりも早いですから」
控えめな言葉とは裏腹に、悔しそうな表情がちらりと垣間見えた。
そうか、この人たちにとって、1番に出勤するということはステイタスだったのか!
理解しがたい欲望に難しい顔をしていたら、逆に私が質問された。
「笹木先生は、遅刻しそうだとハラハラしたことはないんですか?」
彼もまた、始業寸前にやってくる私が不可解だったらしい。
「いやー、年に1回くらいは電車の遅延で遅れることがありますけれど、普段は間に合いますからね。いつものことだし、別にハラハラしませんよ」
私が笑って答えると、山田さんは金髪に染めた若者を見るような目をした。
「私は、ゆとりを持って行動しないと不安になるんです。遅れるくらいなら休んだほうがマシですからね……」
なんと、極端な! 私と彼は、一生平行線のままだろう。
出勤時刻だけに限らず、書類提出や各種の手続きなども、期限間際にならないとやる気が起きない。仕事の準備もそうだ。教材づくりもテストの作問も、尻に火がつくまで放置してしまう。期限が迫り、「よしやるぞ」と決心すれば、睡眠時間を削ってでも集中して終わらせ、何が何でも間に合わせるのだが。
「もっと早く始めれば、夜更かししないですむんじゃないの?」
山田タイプの夫にはよくこう言われるが、どうしても私にはそれができない。
一体、いつからこうなったのだろうと考えてみた。すると、母がよく口にした、私が生まれたときのエピソードにたどり着いた。
「砂希は、予定日を過ぎてもなかなか生まれてこなかったんだよ。陣痛が起きる気配もゼロ。医者には、2週間たっても出てこなかったら、陣痛促進剤を使いましょうって言われたよ」
今は違うかもしれないが、危険をともなう促進剤を使用すること、それは当時の常識だった。
「そしたら、きっかり2週間後に陣痛が起きて、自然に生まれてきたんだから。まったく、アンタはちゃっかりしてるよ!!」
胎児にとって、子宮は非常に居心地のよい場所だというから、離れがたかったのだろう。陣痛促進剤を使う直前まで、私はぬくぬくと母の胎内にとどまっていた。おかげですっかり肥えて、身長50cm 体重3744gの、ソーセージのように肉の詰まったベビーになってしまった。2人目なのに、分娩所要時間が14時間を超えたというから、困ったものだ。
胎児のときからの習性とは。筋金入りだね、こりゃあ!
ン十年前の10月4日が、私の出産予定日だった。
山田タイプの人だったら、きっと9月中に生まれていたことだろう。
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※新ブログ 「いとをかし」 へは、こちらからどうぞ^^
たとえば、朝の出勤時刻。私が勤めている学校は8時半から勤務時間なのだが、いつも8時28分頃に到着する。決して朝に弱いわけではなく、お弁当を作ったり筋トレをしたり朝食の準備などで、あっという間に時間がたってしまうからだ。
中には7時に出勤する人もいる。特に、育児や家事の負担がない男性は来るのが早い。私は好奇心から早く出勤したがる心理を知りたくて、もうじき定年退職を迎える山田さんに聞いてみた。
「先生はいつも早く来てますね。もしかして、1番ですか?」
「いえいえ、どんなに頑張っても私は3番ですよ。○○先生と××先生は私よりも早いですから」
控えめな言葉とは裏腹に、悔しそうな表情がちらりと垣間見えた。
そうか、この人たちにとって、1番に出勤するということはステイタスだったのか!
理解しがたい欲望に難しい顔をしていたら、逆に私が質問された。
「笹木先生は、遅刻しそうだとハラハラしたことはないんですか?」
彼もまた、始業寸前にやってくる私が不可解だったらしい。
「いやー、年に1回くらいは電車の遅延で遅れることがありますけれど、普段は間に合いますからね。いつものことだし、別にハラハラしませんよ」
私が笑って答えると、山田さんは金髪に染めた若者を見るような目をした。
「私は、ゆとりを持って行動しないと不安になるんです。遅れるくらいなら休んだほうがマシですからね……」
なんと、極端な! 私と彼は、一生平行線のままだろう。
出勤時刻だけに限らず、書類提出や各種の手続きなども、期限間際にならないとやる気が起きない。仕事の準備もそうだ。教材づくりもテストの作問も、尻に火がつくまで放置してしまう。期限が迫り、「よしやるぞ」と決心すれば、睡眠時間を削ってでも集中して終わらせ、何が何でも間に合わせるのだが。
「もっと早く始めれば、夜更かししないですむんじゃないの?」
山田タイプの夫にはよくこう言われるが、どうしても私にはそれができない。
一体、いつからこうなったのだろうと考えてみた。すると、母がよく口にした、私が生まれたときのエピソードにたどり着いた。
「砂希は、予定日を過ぎてもなかなか生まれてこなかったんだよ。陣痛が起きる気配もゼロ。医者には、2週間たっても出てこなかったら、陣痛促進剤を使いましょうって言われたよ」
今は違うかもしれないが、危険をともなう促進剤を使用すること、それは当時の常識だった。
「そしたら、きっかり2週間後に陣痛が起きて、自然に生まれてきたんだから。まったく、アンタはちゃっかりしてるよ!!」
胎児にとって、子宮は非常に居心地のよい場所だというから、離れがたかったのだろう。陣痛促進剤を使う直前まで、私はぬくぬくと母の胎内にとどまっていた。おかげですっかり肥えて、身長50cm 体重3744gの、ソーセージのように肉の詰まったベビーになってしまった。2人目なのに、分娩所要時間が14時間を超えたというから、困ったものだ。
胎児のときからの習性とは。筋金入りだね、こりゃあ!
ン十年前の10月4日が、私の出産予定日だった。
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夏休みの宿題はいただけませんが…(笑)
ギリギリ人生から脱出できない理由のひとつに、追い詰められると火事場のバカ力が出るということがあります。
いつもは使わない頭をフル回転させて、「どうにかしないと」と念じていると、結構いいアイデアが浮かぶんです。
尻に火がつかないとやらないタイプですね。
でも、学生時代の夏休みの宿題等は残り一週間徹夜でいつもやっていたなぁ(笑)
すべり込みが許されるのは、30代子持ちになってからでしょうね
40代になると、誰も何も言ってこない…
怖いものなしです
サオも上司に怒られちゃいました
来るのが遅いんだと
でも。3分前には着いてるんですケドね笑
社会人としてはNGなんですかね〓