これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

いらぬ心配 ☆ドドンパ☆

2008年09月04日 20時00分04秒 | エッセイ
 8月27日、富士急ハイランドに行った。お目当てはもちろん、絶叫マシーンだ。
 営業時間は8時からだったが、私たち一家が到着したのは9時近くだった。
『待ち時間 ドドンパ40分 フジヤマ20分 ええじゃないか40分』
 園内の表示を見て、出遅れたことを悔やんだ。雨の日が続いたあとだったので、そこそこ人出があるようだ。
「じゃあ、まずはドドンパから行こう!」
 フジヤマは10年前に乗ったことがあるけれども、ドドンパもええじゃないかも初めてだ。もちろん、娘のミキも。
 ホームページによると、『発射後わずか1.8秒で時速172kmの圧倒的な加速力』とある。2001年誕生当時はギネス認定された速さだ。最大加速度は4.25Gとあるが、どの程度なのか見当もつかない。ちなみに、素人は瞬間で6Gまでしか耐えられないそうだ。それ以上になると失神するというから、かなりのものなのだろう。
「じゃあ、オレ、この辺にいるよ」
 絶叫マシーンがキライな夫は完璧に乗る気がなく、出口付近で待つと言う。まったく、つき合いの悪いヤツだ。
 待ち時間は、実際には30分ほどだったろうか。2台で稼動しているとはいえ、1台の定員がわずか8名では効率が悪い。
『メガネ、マフラー、帽子、携帯電話は身につけないでください』
『荷物はロッカーへ』
 同じ注意書きをいくつも目にして、「そんな大げさな~」と苦笑した。このときはまだ、時速172kmの風圧がいかなるものか、予測できなかったのだ。
 ようやく順番がきて、係員に誘導される。
「すご~い、一番前だよ!」
 ミキは乗る前から興奮しており、呼吸が荒くなっている。散歩を心待ちにしている犬のように、ハッハッと舌を出しそうな勢いだ。
 シートベルトを締め安全バーを下ろすと、コースターは発射地点まで移動する。
 そして、カウントダウンのアナウンスが流れた。
「スリー、ツー、ワーン、ドドンパァー!」
 動くとすぐに、ヘッドレストに頭がめり込みそうな衝撃があった。頭だけではない、体全体が押しつぶされるような爆発的なパワーを浴びた。時速172kmの世界は、心臓が引っ張り出されるような迫力である。
 すっげー! はえー!!
 絶叫マシーンに乗ると、言葉遣いが悪くなるのはなぜだろう。
 ドドンパの威力は本当にすさまじい。水平走行をしているのに、あまりに速すぎて、落下よりも大きなスリルを味わった。『ザ・ワールド・ブッチギリ・コースター』とは、実に的確なネーミングである。
 たしかに、メガネや帽子は飛ばされるわな……。
 最高部52mの垂直タワーはおまけみたいなもので、化け物じみた加速力ばかりが印象に残る。年齢制限 10歳~54歳という基準に思わず納得した。
 瞬く間に所要時間の60秒が終わり、コースターから降りた。ミキも度肝を抜かれたようだが、「また乗りたい~」とまとわりついてきた。満足、満足。

 出口に向かう途中、ミキが素朴な疑問をぶつけてきた。
「ねぇ、どうしてカツラはダメって書いてないのかな?」
 たしかに、シートに体を押し付けられるほどの風圧である。カツラも間違いなく飛ばされるだろう。状況を想像したらおかしくなり、私は笑って答えた。
「でもさぁ、書いたところでその場で帽子みたいに、スポッと取る人はいないでしょ」
「アハハ、そうだね。意味ないね」
 多分、カツラ着用者=カツラーは、絶叫マシーンには乗らないだろう。私の知っているカツラーは実に用心深い。風の強い日などは、十分警戒したうえで、細心の注意を払って行動する。
 私も髪は少ないほうなので他人事ではない。
 もし、私がカツラーになっても、遊園地で遊ぶために一日くらいはカツラを諦めるだろう。
 このコースターにはそれだけの価値がある。



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2 コメント

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一つ疑問が、 (鹿島田の純)
2009-02-26 19:09:51
コースターに乗るとなぜか、恐いのに笑っている自分がいます。

周りを見てもなぜか笑ってます

不思議だなぁ。たまたまかな?
それはね… (砂希)
2009-02-26 21:57:28
純さん、本当は怖くないからですよ。
昔の同僚に、飛行機にも乗れない男性がいました。
絶叫マシンなど、もってのほかだそうです。
その彼が、修学旅行の引率で、飛行機に乗らなくてはならなかったんです。
私は座席が近かったので、一部始終を見てしまいました。
安心するように、キャビンアテンダントと向かい合う席だったのに、顔が引きつっていましたもんね。
笑っていれば、よゆーでしょう(笑)

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