これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

いらっしゃいませ100円硬貨

2024年08月04日 17時46分55秒 | エッセイ
 武蔵野観音霊場巡りをしているが、夏場は暑くて、とても行く気になれない。
「写経はためておかなくちゃ」
 涼しくなった頃に出かけるつもりで、週に2枚は書いている。
「100円玉も用意しないとね」
 御朱印をいただくのに300円かかるが、1000円札を出してお釣りをもらうと結構待たされる。かといって「釣りはいらない」とはならないので、ぴったりの額を払い、スムーズに移動するのが一番だ。あと10か所だから30枚を調達せねば。キャッシュレス化が進むと、財布に硬貨が集まらないデメリットがある。焦ったところでどうにもならない。
「まあ、そのうち回ってくるさぁ~」
 
 先日、勤務先の高校で外国人講師が任期満了となった。終業式の日に離任式も行う予定で、サプライズ企画が進んでいた。
「3年生から色紙のプレゼントをします」
「2年生はありがとうメッセージを伝えます」
 教員がそれぞれできることを探して、感謝を持って講師を送り出す手はずを整えた。問題は花である。予算がないので、行動派の理科教員が「一人100円カンパして!」と集めて回ってくれた。
「すご~い! たくさん集まってるじゃない」
「いやあ、皆さん協力的で、快く払ってくれましたよ」
 花の注文は私がした。4800円集まったというので、5000円の花束にすればちょうどいい。
「じゃあ、このお金、渡してもいいですか」
「もちろんです」
 理科教員から硬貨の入った封筒を受け取ると、木綿豆腐ほどの重みがあった。協力者の熱意も込められたカンパに「皆いいとこあるじゃん」と口端が上がる。だが、硬貨の強制通用力は額面金額の20倍までだし、ジャラジャラさせて支払うわけにいかないので、手持ちの紙幣に両替しないといけない。
「あっ、100円玉、大量にゲットじゃん」



 こうして、苦もなく御朱印代を調達できたのであった。
 しかし、豪華な花束を写真に収め忘れてしまった。なんと残念な……。
 全部100円玉かと思ったら、50円玉も11枚紛れていた。



 うう、だまされた。まあいいけど。
 昭和生まれの多くは、硬貨がたくさんあると「昭和64年」と書かれたものを探す習性がある。この年の1月に昭和天皇が崩御され、元号が変わって平成になったことから、数が少なく貴重であるらしい。一度も見つけたことはないけれど、どこかにはあるのだろう。
 代わりに、昭和46年の硬貨が見つかった。



 昭和を西暦にするには、1925を足せばよい。つまり、1971年に作られた硬貨というわけで、現在53歳。これからも活躍してほしい。
 一昨日、見送った外国人講師からメールが届いた。無事に母国に到着したとのことで、肩の荷が下りた。日本で教壇に立った経験を、ときどき思い出してくれるとうれしい。
 早く御朱印もらいたいな~。

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コメント (11)
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