これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

落ち込む気分を上げる場所

2024年02月25日 17時59分25秒 | エッセイ
 気分が落ち込んだとき、あなただったらどうする?
 10日ほど前、仕事で大きなミスをした。正確にいえば、間違えたのは別の職員だったのだが、それを見つけられなかった私も同罪というわけで、上司が解決に向けて奔走している。
 はー。
 加えて、昨日2月24日はウクライナへの軍事侵攻から丸2年。こんなに長く戦闘が続くとは思わなかった。兵士にも市民にも死傷者が増え、家族や自分が明日生きていられるかもわからない、過酷な状況に置かれたウクライナの方たちを思えば、私が抱える問題なんてちっぽけ過ぎるのだが。
「出かけようかな」
 天皇誕生日からの3連休を迎え、気晴らしに外出プランを立てた。
「そういえば写経がたまっているな」
 日記を見たら、最後に納経したのは9月26日。はや5カ月が経過している。そろそろ観音霊場巡りを再開させよう。順番でいくと、次は狭山ヶ丘駅から行かれる妙善院と松林寺。何分歩くのかと地図で場所を確認していたら、「砂川遺跡」なる文字が目に入った。
「えっ、遺跡?」
 私は遺跡や古墳といった古いものが大好きだ。これをスルーするわけがない。納経の前に、まずは遺跡に向かおう。
 その日は晴れて、柔らかで暖かい日差しのシャワーが降っていた。狭山ヶ丘駅から住宅地を抜け、田園風景が広がってくると、心もリラックスする。緑が多く、土の匂いがするせいかもしれない。
「ここだ」
 まずは砂川遺跡に到着した。



 ここでは、今から2万年前にあたる旧石器時代時代のナイフ形石器などが出土したという。出土物の多かった地点をAやFとして丸で囲っている。





 緑地を併設することで、市民の憩いの場となっているようだ。



 落ち着く~。
 学術的な内容も記述されていた。



「砂川遺跡の調査で得られた2つの成果」として、わかりやすい説明にまとまっているところがありがたい。子どもにも理解できるので、読めば将来、歴史や社会に興味を持つ大人に成長するかもしれない。
 成果の一つ目は「ナイフ形石器の製作工程が把握された」ことで、丸い石をどのように加工して、切る道具・刺す道具に変えていったかが書かれている。
 二つ目は「石材が人びとの移動とともに遺跡をこえて動いていることが具体的に明らかにされた」である。
 復元過程から、砂川遺跡外の石材と思われるものが見つかったことで、石材を携えて移動生活を繰り返していた当時の様子が判明している。
 獣を追って自給自足の生活をしていた先人たちに敬意を表したい。
 
 石器のあとは、対照的に、殺生がはばかられる寺院・妙善院に向かう。
 観音様の立ち姿が実にお美しい。



 線香をあげ納経して、次のお寺・松林寺へ。こちらの観音様も温かく迎えてくれた。





 20枚あった写経をすべて納めると、心から重石がとれたように、ふわふわと浮かび上がる。起きてしまったことは取り返しがつかないので、今さらクヨクヨ悩んだって仕方ないよ、と思えるのが不思議だ。
 武蔵野観音霊場は全部で33カ所あり、この日で15カ所に納経することができた。暑い夏が来る前に、残りの18カ所を回れればと思う。
「また写経するかな」
 書けばさらに気持ちが落ち着き、納経すればますます明るい気分になる。
 落ち込んだときは試してください。

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コメント (6)
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