これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

初めてのコストコ

2015年11月08日 21時37分49秒 | エッセイ
 娘のゼミでは、月末に販売実習が予定されている。
「チュロスを売ることになって、ミキは仕入係だよ」
 経済学部らしく、仕入原価に諸費用をプラスして販売原価を計算し、損益分岐点まで求める実習だという。価格を調べたら、業務用スーパーよりもコストコが安いので、買いに行くと言い出した。
「何個買うの?」
「125個。1箱25個入りだから、5箱買ってくる」
「えー、一人じゃ持って帰れないでしょ」
 彼女は、かなりの量と重さになるということがわかっていなかった。ちょうど、その日は私も予定がなかったから、一緒に行くことにする。
「コストコは会員制なんだって。写真部の先輩が会員カードを持っているから、一緒に来てもらうんだ」
 1枚のカードで3名までが入店できるらしい。以前から興味はあったので、これ幸いとばかりについて行った。
 店内はやたらと広い。天井も高くて、5メートルくらいはありそうだ。
「上の方の商品を取るにはどうしたらいいのかな」
 素朴な疑問を口にすると、娘がおどけて答えた。
「3人くらいで肩車すればいいんじゃない」
 先輩も負けていない。
「いやいや、10段ピラミッドを作ればいいのよ」
「ははは」
 それにしても、商品の大きいこと大きいこと。
 こん棒と間違いそうな豚肉や、1ダースのじゃがりこ、876gのキットカットなど、ジャンボサイズの商品ばかりが並んでいる。しかも安い。もちろん、カートもビッグサイズで、大人が3人くらい乗れそうだ。
「えーと、チュロス、チュロス」
「どこかな」
 ウロウロしていると、クリスマスコーナーがあった。ツリーやリース、電飾にオーナメントなどが並んでいる。
「あ」
 ツリーの奥にはお酒がある。その中に、見覚えのあるボトルを見つけた。たしか、以前、姉がクリスマスパーティーに持ってきてくれたヴーヴ・クリコではないか。近寄ってみると、やはり間違いない。
「えっ、これ、4338円で買えるの? 安いんじゃない?」
「…………」
 飲まない先輩と、未成年の娘からは何の反応もない。
「モエ・エ・シャンドン・ロゼも5068円だって! 欲しいなぁ」
 普段はシャンパンなんぞ飲まないが、クリスマスくらいはお金をかけてもいい。せっかくコストコに来たのだから、自分用のおみやげがあるとうれしいではないか。
 私ひとりで盛り上がり、そそくさとボトルをカートに入れる。先輩と娘は無言で顔を見合わせていた。
「あった、あった。チュロスはここだ」
 無事、5箱のチュロスを買い、レジを通過した。運搬用のキャリーにチュロスを入れていたら、見知らぬ奥様が話しかけてきた。
「あら、たくさんね。それ美味しいの?」
「いえいえ、自分用じゃないので」
 まとめ買いをすると、他の客に与える影響があるらしい。もしかして、その日はチュロスの売り上げが上がっていたりして。
 ちょっと重かったけれど、シャンパン2本をエコバッグに入れて帰宅する。並べてみたら、クリスマスが待ち遠しくなった。



 うふふふ~♪

 しかし、2本も持ち歩いたせいで、翌日は見事に筋肉痛である。
 欲張りばあさんになった気分……。


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コメント (12)
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