20年ほど前、スイスに行ったときのこと。
森の中にあるレストランで夕食をとったら、お料理が運ばれてくるやいなや、ハエが十数匹たかってきた。皿の10cmほど上を、円を描くようにブンブンと飛び回っている。
「シッシッ」
私も夫も、左手でハエを追い払い、右手でフォークを動かすという芸当を強いられた。他のテーブルにも、バカンスを楽しむ外国人の姿があったが、私たちと同様に顔をしかめながら、ハエの襲撃を防いでいる。
こんな食べ方では美味しいはずがない。ひたすら「早く食べ終わらなければ」と焦るだけで、写真も残っておらず、何を食べたかすら記憶にない。
そのときは、苦労のかいあって、ハエが料理にとまることもなく「セーフ」だと思っていた。
しかし、今週号の『日経ビジネス』の「害虫の逆襲に備えよ」を読み、自分の甘さを思い知らされた。ハエは5~6分に1回の頻度で排泄をするという。ハエがとまらなくても、フンが料理に落ちることで、O157などの病原菌に感染するリスクがあるそうだ。知らないだけで、お皿の上にはハエが「ボトボト」と落し物をしていたのだろう。
忌々しい……。
姉は子どものとき、よく両手の掌を合わせて、ハエの真似をしていた。楽しそうだったので、私もやってみたが、今は絶対やる気にならない。
蚊も大、大、大、大、大っ嫌い。手や足に、黒い黒子のような虫がへばりついていたら、とても平常心ではいられない。背筋が急速冷凍され、心臓が打ち鳴らされて鳥肌が立つ。しかも、コイツを叩きつぶしても、一週間ほどはかゆみに悩まされるのだ。
蚊のヤロウ、いや、血を吸うのはメスと決まっているから、オバハンかもしれないが、こちらも『日経ビジネス』にはとんでもないことが書かれている。何と、蚊に刺されたことでマラリアなどに感染し死亡する数は、世界で年間72万5000人に上るそうだ。殺人や戦争などによる死亡例が、年間47万5000人というから、驚異的な数であろう。こんなにも、多くの人の命を奪っているとは思わなかった。
昨年はデング熱が流行し、怖い思いをした。今後も引き続き、警戒しなくてはならない。
もしや、蚊を見てギョッとするのは、遺伝子に刻まれた警戒警報なのかもしれない。
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※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
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「シッシッ」
私も夫も、左手でハエを追い払い、右手でフォークを動かすという芸当を強いられた。他のテーブルにも、バカンスを楽しむ外国人の姿があったが、私たちと同様に顔をしかめながら、ハエの襲撃を防いでいる。
こんな食べ方では美味しいはずがない。ひたすら「早く食べ終わらなければ」と焦るだけで、写真も残っておらず、何を食べたかすら記憶にない。
そのときは、苦労のかいあって、ハエが料理にとまることもなく「セーフ」だと思っていた。
しかし、今週号の『日経ビジネス』の「害虫の逆襲に備えよ」を読み、自分の甘さを思い知らされた。ハエは5~6分に1回の頻度で排泄をするという。ハエがとまらなくても、フンが料理に落ちることで、O157などの病原菌に感染するリスクがあるそうだ。知らないだけで、お皿の上にはハエが「ボトボト」と落し物をしていたのだろう。
忌々しい……。
姉は子どものとき、よく両手の掌を合わせて、ハエの真似をしていた。楽しそうだったので、私もやってみたが、今は絶対やる気にならない。
蚊も大、大、大、大、大っ嫌い。手や足に、黒い黒子のような虫がへばりついていたら、とても平常心ではいられない。背筋が急速冷凍され、心臓が打ち鳴らされて鳥肌が立つ。しかも、コイツを叩きつぶしても、一週間ほどはかゆみに悩まされるのだ。
蚊のヤロウ、いや、血を吸うのはメスと決まっているから、オバハンかもしれないが、こちらも『日経ビジネス』にはとんでもないことが書かれている。何と、蚊に刺されたことでマラリアなどに感染し死亡する数は、世界で年間72万5000人に上るそうだ。殺人や戦争などによる死亡例が、年間47万5000人というから、驚異的な数であろう。こんなにも、多くの人の命を奪っているとは思わなかった。
昨年はデング熱が流行し、怖い思いをした。今後も引き続き、警戒しなくてはならない。
もしや、蚊を見てギョッとするのは、遺伝子に刻まれた警戒警報なのかもしれない。
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