今日から、さかのぼってみること9日、3月14日はホワイトデーだった。
朝、出勤すると、机にプレゼントの山ができている。何人かの職場の男性陣から、バレンタインデーのお返しが届いていたのだ。
「いつもお世話になっています」
中でもうれしかったのが、事務室の男性がつけてくれたメッセージカード。女性は、こういうひと言に弱いので、意中の相手がいたらぜひ試してもらいたい。
「さきほどは、ありがとうございました」
なるべく早く、プレゼントをくれた男性、一人ひとりにお礼を言って回る。今年は、バレンタインのチョコを渡した相手が多かったので、お返しもたくさんあった。いくつかは、おやつ用にとデスクに入れ、残りは家に持ち帰った。
「ただいまぁ」
「おかえり」
「おみやげ持ってきたよ」
「おお~」
中には、フォークが突き刺さったマフィンもある。
きっと、ユニークな商品が好きな人なのだろう。「こんなもの、あるんだね」と笑った。
ところで、夫からのお返しが出てくる気配はない。定年退職を機に、引きこもりに近い状態となっているから、買いに行くのが面倒なのかもしれない。
おそらく、そんなことだろうと予想していたが……
「ここに置いておくから、食べていいよ」
「うん」
夫は何も用意していないのに、声をかけると他の男性がくれた、クッキーやらチョコレートやらに手を伸ばす。
バリバリと食べる様子を見て、ガッカリした。若いときは、私を喜ばせようとして、あれこれ企画してくれる人だったのに。歳を取り、彼はすっかり変わってしまった。
そんなこんなで、夫に何かを期待するのは間違いだと思い込んでいた。
昨日は、夫が珍しく出かけ、大きな紙袋を持って帰ってきた。
「ママ、これ、おみやげ」
「え?」
袋には、ゴディバと書いてある。まさかまさか。
中には、カラフルな箱が2つ入っていた。
小さな箱はチョコレート。
大きい箱には「ビスケット」と書いてあるが、フィルムがなかなかはがれない。
「くううう~!」
娘と2人がかりで、どうにか開けられた。粘着力が強すぎるようだ。
ビスケットとチョコレートの相性が実に素晴らしい。ビターで香ばしいチョコレートと、サクサクして歯ごたえのあるビスケットが組み合わされると、ついつい止まらなくなる。
「おいしいよ♪」
「うん」
ほめられ、夫もまんざらではないようだ。
プレゼントそのものよりも、自分を気にかけてくれたことがうれしい。スルーされるのは淋しいのだ。
ここで一句。
お返しは 忘れたころに やってくる
↑
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※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
朝、出勤すると、机にプレゼントの山ができている。何人かの職場の男性陣から、バレンタインデーのお返しが届いていたのだ。
「いつもお世話になっています」
中でもうれしかったのが、事務室の男性がつけてくれたメッセージカード。女性は、こういうひと言に弱いので、意中の相手がいたらぜひ試してもらいたい。
「さきほどは、ありがとうございました」
なるべく早く、プレゼントをくれた男性、一人ひとりにお礼を言って回る。今年は、バレンタインのチョコを渡した相手が多かったので、お返しもたくさんあった。いくつかは、おやつ用にとデスクに入れ、残りは家に持ち帰った。
「ただいまぁ」
「おかえり」
「おみやげ持ってきたよ」
「おお~」
中には、フォークが突き刺さったマフィンもある。
きっと、ユニークな商品が好きな人なのだろう。「こんなもの、あるんだね」と笑った。
ところで、夫からのお返しが出てくる気配はない。定年退職を機に、引きこもりに近い状態となっているから、買いに行くのが面倒なのかもしれない。
おそらく、そんなことだろうと予想していたが……
「ここに置いておくから、食べていいよ」
「うん」
夫は何も用意していないのに、声をかけると他の男性がくれた、クッキーやらチョコレートやらに手を伸ばす。
バリバリと食べる様子を見て、ガッカリした。若いときは、私を喜ばせようとして、あれこれ企画してくれる人だったのに。歳を取り、彼はすっかり変わってしまった。
そんなこんなで、夫に何かを期待するのは間違いだと思い込んでいた。
昨日は、夫が珍しく出かけ、大きな紙袋を持って帰ってきた。
「ママ、これ、おみやげ」
「え?」
袋には、ゴディバと書いてある。まさかまさか。
中には、カラフルな箱が2つ入っていた。
小さな箱はチョコレート。
大きい箱には「ビスケット」と書いてあるが、フィルムがなかなかはがれない。
「くううう~!」
娘と2人がかりで、どうにか開けられた。粘着力が強すぎるようだ。
ビスケットとチョコレートの相性が実に素晴らしい。ビターで香ばしいチョコレートと、サクサクして歯ごたえのあるビスケットが組み合わされると、ついつい止まらなくなる。
「おいしいよ♪」
「うん」
ほめられ、夫もまんざらではないようだ。
プレゼントそのものよりも、自分を気にかけてくれたことがうれしい。スルーされるのは淋しいのだ。
ここで一句。
お返しは 忘れたころに やってくる
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