このところ気分転換に読んでいるミステリー小説は、読破にチャレンジしている内田康夫さんの “浅見光彦シリーズ”に偏っているので、ちょっと息抜きとして、今まであまり読んだことのない作家の方々の作品にトライしてみようと思っています。
手始めに、これまた今まで意識的に避けていた「有名な文学賞」を受賞した作品からあたろうと考えて本作を選んでみました。
第114回直木賞、第41回江戸川乱歩賞をダブルで受賞した作品です。
さて、ミステリー小説なのでネタバレになるとまずいので内容には触れませんが、確かによく練り込まれたストーリーという印象ですね。ただ、背景となっている “時代感” を踏まえると、それなりの年代の読者でないとしっくりこないかもしれません。
ラスト近くの数10ページで、それまで明らかになっていなかった事柄や、超人的な推理の結果が怒涛の如くなだれ込んで大団円を迎えるのですが、このあたりの構成は好き嫌いが分かれるように思います。
私はちょっと強引な印象を受けましたが、とはいえ、確かに有名な賞の受賞作品らしく重厚な力作でした。