マネジメントは通常日本語では「管理」と訳されますが、その「管理」についてドラッカー氏が語った章から、私が関心をもったフレーズを書き記しておきます。
まずは、「管理手段」の特性についてです。
(p165より引用) 組織における管理手段には三つの特性がある。
①管理手段は純客観的でも純中立的でもありえない。・・・
この第一の特性を踏まえてドラッカー氏はこう指摘しています。
(p166より引用) したがって管理に関わる根本の問題は、いかに管理するかではなく何を測定するかにある。
「目的(対象)」の明確化が最も重要で、「いかに(手段)」はそれに従属するとの考えです。
さらに、あと二つの特性はこれらです。
(p166より引用) ②管理手段は成果に焦点を合わせなければならない。・・・
③管理手段は、測定可能な事象のみならず、測定不能な事象に対しても適用しなければならない。・・・
測定できるものは、すでに発生した事実、過去のものである。未来についての事実はない。しかも測定できるものは、ほとんどが外部ではなく内部の事象である。・・・
そのうえ測定と定量化に成功するほど、それら定量化したものに注目してしまう。したがって、よく管理されていると見えれば見えるほど、それだけ管理していない危険がある。
最近、「見える化」「可視化」の重要性がいわれています。もちろんその重要性を否定するものではありませんが、そもそも「何を」対象とするのかが重要である、定量化(可視化)外のところにも管理が必要な事象があるとのドラッカー氏の指摘は、なるほどと思わせるところであり、改めて心しなくてはならないと感じました。
もうひとつ、「経営科学」をテーマにしたドラッカー氏の議論です。
ドラッカー氏は「経営科学」はマネジャーにとって有効なツールであるにも関わらず、その活用方法に問題があると考えています。
(p175より引用) 経営科学がなぜまちがって使われているかを解くもう一つの鍵は、リスクに対する態度にある。経営科学は、・・・最終目標としてリスクをなくすことや最小にすることに力を入れている。・・・だがそのような試みは、最大のリスクすなわち硬直化のリスクを冒しているといわざるをえない。
経営科学の主たる目的は、正しい種類のリスクを冒せるようにすることでなければならない。マネジメントのために、いかなるリスクがあり、それらのリスクを冒したとき何が起こりうるかを明らかにしなければならない。
この指摘の根本にある「リスクに対する考え方」、すなわち、リスクは避けるものではなく取るものだという姿勢は、まさにドラッカー氏のマネジメント思想の根本に流れているものですね。
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